魔法がある世界で大好きな人が殺され僕は狂いだす。
天草 仙
君との出会い。
「君!私と修行をしないかい?」
と5年前。僕が12歳の時。僕より4つ年上の少女が毎夜1人で魔法習得のための修行をしている僕をみかねて静けさがある、夜の公園で修行に誘ってくれた。この少女はちょっとした有名人だった。16歳にして、圧倒的な魔力貯蓄量を有しており、その他攻撃魔法も僕の住んでいる都市でも圧倒的な物で、この少女は魔法高校の歴代の首席の中でも群を抜いて強いと言われていた。
ただ、彼女のような天才の輝かしい栄光に隠れがちだがこの世界「witchcraft_world」では魔法を使えない者は基本的に人として扱われない。普通は生まれた時に自然と魔法を使えるのだが、当時の僕は魔法を使えず周りの大人はおろか、親やたった1人の妹からも忌み嫌われていた。辛かった。まるで出口のない迷路にたった1人で閉じ込められたように先が見えなく、ただ呆然とした恐怖にされされていた。だが、そんな少女の発言により僕は希望が見えた気がした。本当に嬉しかった。
「はい!」
と迷わず、僕は頷く。それから僕は初めて人と、いや、レータさんと交流したのだった。
「ほら、どうぞー!ゆうくん!お姉さん特性のスペシャルオムライスを食べるが良い!」
「は、はい!美味しいです!!!」
時には暖かいご飯を作ってもらったり。
「おいで...」
とどこか心細い時にはレータさんの家に泊まり甘えたり。
「良くやったね!」
と初めて魔法を使えるようになり、レータさんと一緒に嬉し泣きし合ったりと僕たち、いや僕はレータとの出会いで人生で初めて幸せと言うものを感じて居た。そして、初めて人に恋心を感じていた。本当に大好きだった。レータさんのダイヤモンドのように輝いている美しい瞳も、高く整っている鼻も、豊かな胸も、しなやかで長い手足も、黒く輝いているで鮮やかな髪も。何より、全てを包み込んでくれる優しさ、努力を惜しまない負けず嫌いな所。本当に好きだった。いや、愛していた。僕を先が見えない迷路から抜け出させてくれた人なんだ。レータさんのお陰で僕は魔法を使えるようになった。いや、本当は正直レータさんと関わる前は魔法なんてどうでも良かった。レータさんが僕の魔法に意味を与えてくれた。いや、人生に意味を与えてくれたんだ。
だが、レータさんはある日最低最悪な弱者によって殺された。
魔法高校歴代最強首席とまで称されている少女の最後は実にあっけないものだった。
放課後レータさんが友人だと思っていた成績が学年最下位の少女ミラに魔法を教えているときにレータさんはミラに差し入れと称され渡されたクッキーで毒殺されたそうだ。
ミラがなぜレータさんを殺したかはわからない。嫉妬なのか嫌悪からか。そんな事はわからない。
そしてこの事件はミラの祖父が魔法高校の創設者兼校長だそうで揉み消された。
この出来事いらい僕は無能が大嫌いになった。なので、まずは無能な自分を傷つけ続け、鍛えあげた。とにかく自分が憎かった無力でレータさんにすがっていたミラと同類な自分が。本当は僕が死ぬべきだったんだ。全てが憎い。自分もミラも力がない奴ら全てが。殺したい。殺したい。僕は修行で自分自身の力が高まっていくにつれて明確に自分の中に眠っていた殺意が鋭くなっていっていることを感じた。
幸い僕は魔法を習得するまでの才能がなかっただけで魔法その物の才能はあったみたいだった。
レータさんの死から約4年。僕はくるひもくるひも、森や山にいる魔獣や魔物と戦い続けた。そして、僕がレータさんと同い年になった日。僕はレータさんの力を越えた。
レータさんですら生前倒せなくて苦戦していた森の主。森林大魔獣を殺したのだ。
僕はレータを。いや、レータさんの死に関わるすべてのクズをなるべく非道に。残虐に。復讐することを誓い、魔法高校に入学するのだった。
魔法がある世界で大好きな人が殺され僕は狂いだす。 天草 仙 @kamuidyo
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