第18話

 秋になっても、俺らの変わらない日常は続く。

 俺、瑞季は学校の友達と久しぶりのカラオケに来ていた。身近な友達は、俺が天色SUNSETであることを知っているので

「ミズっち、サイダー・ワールド歌ってよ〜」

 と茶化されることがあるが

「いや俺、ドラムだからw」と流していた。


 カラオケの中盤、友達がそれぞれ好きな曲を歌う中俺はトイレに立った。

 用を済ませトイレを出た時、ふと他の部屋から天色SUNSETの曲が聞こえてきた。


 何故だか分からないがこの時、バンドを始めてから約二年の中で一番ヒットアーティストになったという実感があった。

 ふとした時カラオケから自分たちの音楽が流れてくるなんて体験は音楽活動をしていてもそう多くの人が出来るわけではない。

 しかし、それと同時に何とも言えぬ違和感が心に押し寄せて来た。

 その違和感に目を背けて俺はカラオケルームに戻った。


 この後も2時間ほどカラオケをしていたが、喉の奥に小骨が刺さっているかのように違和感の正体が気になり、あまり楽しめなかった。


 その後、俺は違和感の正体を突き止めるまで多くの時間を要した。

 そしてこれが、バンドの終わりへと繋がっていくのだった。

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