翌朝も、やっぱり黒いシミはついていた。しかも、今度は服に覆われていないむき出しの右肘。これで、黒いシミは服じゃなく、あっくん自身についていたんだと確信できた。

 あっくんに断ってから、肘にそっと触れた。黒いシミは、昨日と同じように消えた。消す前も消す時も、黒いシミが何なのか見極めようと集中したけど、やっぱり何も分からない。


 昨日の夜、神山のお母さんと話をした。詳しくは、見てみないと分からないけど、大した影響がないなら、もう少し様子を見ても大丈夫だろうと言われた。確かに、俺がちょっと触っただけで消せるようなモノだし、シミがついたところもちょっと違和感があるだけだと言っていたから、様子見するのも1つだと思う。

 だけど、最後に言われた言葉が引っかかった。

「月山くんに憑いている何かは、生霊かもしれないわね。生きている人の強い思いが他人に影響を及ぼすことは、結構あるからね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る