何故お前がそこにいる


人々が喜び花吹雪が舞い散る中、行われている

アントニオ王子だった者を乗せた檻馬車がゆっくり北の塔へと進んでいく。

檻馬車の中央に鎖で繋がれて立たされている王子の周りには、首輪と手錠が1メートルの長さの鎖で繋がれた女性たちが座っている。

王子がばら撒いたタネで妊娠した女性たちだ。

自ら望まなかった女性は堕胎薬を飲まされて慰謝料が支払われた。

しかし、王子と共に北の塔へと向かう者たちはすべて望んで抱かれた者たちだ。

王子はすでに去勢されている。

懲りずに北の塔でも乱れた生活をしかねないからだ。

檻馬車の後ろを中の女性たちと同じ姿で前の人の首輪と鎖で繋がれて歩く女性たちは、運良く妊娠しなかった元夫人や元令嬢たち。

すでに家族とは離縁していて、罪人として番号が与えられている。

その番号が彼女たちの名であり、この国葬は彼女たちの死も意味している。


アントニオ王子、いや愚かなる罪人番号053番ゴミは王城の前に置かれた公開檻で見せつけられた光景を思い出しては心を痛める。


自分の愛した女性に寄り添う男性。


「グレン……何故お前がそこにいる」

「私の恋人ですから当然です。残念ですよ、2人の恋のキューピッドであるあなたにはぜひ来年の結婚式に出ていただきたかったのですが」


そう言って寄り添う2人。

微笑みあって、そのまま彼の前から去っていった。

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