究極の嫌がらせ
学園でも嫌味しか言わない男から婚約の打診がきたのは2学年に上がった直後。
「どうしたい?」
「お父様、お断りしてください」
「なんで嫌がらせしか言わない姉さんに婚約を打診してきたんだ?」
私が一年間ずっと、嫌味や嫌がらせしか受けてこなかったことは学園内外でも有名な話だ。
「女のくせに」
この言葉が必ず王子の口から発せられる。
学園トップを取った嫌味、優秀賞を取った嫌味。
そして毎日欠かさず言われてきたのは
「女のくせに無駄な努力をして。男を立てることもできないのか」
「ふっざけんじゃないわよ! 文句あるなら成績を上げろっていうのよ! 何よ、最下位クラスから抜け出せないくせに!」
「男友だちの話では、いつも睨みつけてて、教授に質問にいけば『授業についていけないバカ』とか『男に媚びて成績を加算させている娼婦』とか言ってるの。私も入学式直後にあの王子から『姉から成績の上げ方を習ったんだろう?』ってニマニマ笑っていってきたのよ」
私と妹からの評価は低い。
私の家族からの評価も低い。
私たちのクラスメイトからの評価も低い。
そして、教授をはじめとして学園全体からの評価も低く……
国民からの評価は低く、期待度はゼロに等しい。
「だいたい、幽閉が妥当って評価なんですよね?」
「ああ。まだ努力をしても学業についていけないのなら許されよう。しかし、自身は努力もせず、周囲を見下して陥れようという態度では誰も評価はできない」
「その結果がこの究極の嫌がらせですか」
婚約の申請を却下したところ、再度打診された。
どうやら徹底的に潰さないと諦めないらしい。
「どんな条件を付けてもいいと言質はとった」
「条件ですか。ではこんなのはいかがでしょう?」
そして『正当な理由がある場合、下位である彼女から婚約破棄ができる』という条件をひとつつけた。
「ひとつだけでいいのか?」
「ひとつだからいいのです」
婚約者をもつということは成人になるということ。
成人なんだからもちろん周りが補佐する必要はない。
聞かれたらアドバイスするだけだ。
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