第34話 悪巧み


※※ 注意 ※※

◇間は胸くそ悪い残酷描写があります。

苦手な方は回避推奨です。


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 メイサの街長から提供された屋敷に戻りるとさっき会った奴等のことを思い返す。


「なあ、姉貴、アイツ絶対にあのクソ兄貴だったよな? 髪の色は違ってたけどよ」


「ええ、間違いなくあれは義兄さんだわ」


 楽しそうに姉貴が笑う。

 なんであんなクソ野郎に会って嬉しそうにしているのか分からない、俺は前世と同じであの顔を見るだけでイライラしてくるのに。


「ちっ、腹の虫が治まらねぇ、ちょっと地下に行ってくる」


 俺はストレス発散する為に地下で飼っている女達の所に向かおうとする。


「人形遊びも程々になさい」


 姉貴が俺に釘を指してくる。

 この世界に来て姉貴はすっかり姫様気取りが板に付いていやがる。

 反対に俺は堅苦しいのが嫌いなので好きにやらせてもらっている。

 だからたとえ姉貴だろうが俺のやることを邪魔されたくない。


「この国の娼婦や獣人を使い潰そうが知ったことかよ、どうせ底辺の連中なんだ俺の役に立つだけマシってもんだろう」


「まったく、そんな底辺の連中と盛ってるのは貴方でしょうに」


「俺だって分別あるから獣人や娼婦でしか地下では楽しまねぇんだよ。流石に貴族の嬢ちゃん達とは普通にしてるぜ、つまんねぇけどな」


「まったく、貴方のそういう欲望に正直なところ母さんにそっくりね」


 自分だって、同級だったこの国の王子をちゃっかり誑し込ん出る癖によく言いやがる。

 何だかんだであの母親クソババアに一番似ているのは姉貴の方なのに。


 その後も小言を重ねる姉貴を無視して地下に降りていく。

 地下の隠し部屋を所定の方法で開くと中には天井から鎖で吊るされた三人の女が裸で項垂れていた。


 内二人はこの街で仕入れた若い娼婦で今までこのような目にあった事がないらしく、いたぶりながら抱いてやったら、いい声で泣き喚いてくれたのでかなり楽しめた。


 もう一人は犬型の獣人で裏ルートで仕入れた奴隷だ。

 痛みなどに慣れていたせいか反応が薄かったので尻尾を切ってやったらようやく良い声をあげてくれたので後はそのまま散々なぶってやった。


 こいつには前世で猫や犬なんかをいたぶって殺していた感覚を思い出させてくれ、流石に人間には躊躇してしまうようなことも遠慮なく出来る気にさせてくれた。


 そう、あのクソ兄貴の飼ってた猫を殺った時のようにしても面白いかもしれない…………。


 あれは本当にマジで最高に傑作だった!


 ある意味この俺の趣味を自覚させてくれた原点ともいえる出来事が頭に思い浮かんだ。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 それはクソ兄貴が雨の日にどこからか仔猫を拾ってきたことが始まりだった。

 その猫は大分衰弱していたようでクソ兄貴はわざわざ自分のアルバイトで稼いだ金まで使って病院に連れて行き、そのお陰で猫は何とか持ち直して元気になっていった。

 それと同時に高校で何かあったらしく大分へこんでた様子のクソ兄貴も猫の世話をしている内に少しずつ元気になり始めた。


 その様子はまるで弱者同士の傷の舐め合いに見え腹が立ち、猫ごときを助けて良い気になっている偽善ぶったクソ兄貴の行動が許せないのもあった。


 そんな苛立ちが積もりに積もったタイミングで姉貴の囁きもあり、クソ兄貴の留守を見計らって仔猫を攫うと、俺たちの溜まり場にしていた廃墟の病院に連れて行った。 

 猫はまだ子供の癖に俺が敵だと分かるらしく毛を逆立て威嚇してくる。

 生意気なので軽く蹴飛ばしてやっただけで震えて『ミャーミャー』と泣き喚く姿がクソ兄貴を呼んでるように思えて俺を苛立たせる。

 その苛立ちをぶつけるため仔猫の脚をハンマーで全部潰してやるとケダモノの癖に良い声で鳴いた。

 痛めつけてぐったりした猫はそのまま放置しても勝手にくたばるだろうがそれじゃあ面白くない。

 クソ兄貴に会った時の演出を効果的にするため、外に出るとカラスが集まるように生ゴミを撒き散らし、その中心に瀕死の猫を吊るしてやった。


 その後は猫がいなくなって必死に探し回り疲弊していくクソ兄貴を楽しく眺めながら、タイミングを見てそれとなく廃墟の場所を教えてやった。

 その時、外では雨が降り始めたのにも関わらずクソ兄貴は慌てて傘を持たずに出ていった。

 俺は雨が降り出したので面倒くさかったが、折角演出した結末を見届けるために仕方なくクソ兄貴の後を追った。


 結末はというと予想していた通りに傑作だった。

 雨に打たれながら、カラスに啄まれグロくなった仔猫の死体をあいつは気にせず抱き締めるといい歳して大声で泣き出しやがったのだ。

 俺はその様子を見ながらバレないように笑い声を必死に抑えてこらえると部屋に戻ってから思う存分笑ってやった!





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 俺がケダモノ共をいたぶることを趣味にするようになった原点を振り返ると、それだけで楽しくて興奮する。


 今も、この犬女をいたぶることの方が人間の娼婦二人をいたぶるより楽しいと感じる。


 そのまま俺は昂った感情を女達にぶつけ、先程受けた屈辱を合わせて発散する。


 この国では直ぐに変わりは見つからないのでやりすぎないように注意しつつギリギリで止めておく。


 自国ならもっといい女や奴隷の獣人が手に入るのにと思いながら……。

 そして、俺は思いついてしまう、あの生意気な女に付き従っていたメイド達を……どいつも最高クラスのいい女共だったし、あの女といつも一緒にいる獣人もいたことに。


 確かあいつらはダンジョンに潜ると言っていた。

 俺達もタイミングよくダンジョンに潜る必要がある。

 見つけた最高の獲物を狩るチャンスだ。


 この国では犯罪者などはダンジョンに入れないようにしているが、入れる者に対しての警戒は甘い、

そして入ってもダンジョンから帰ってこない者も必ず出てくる。

 要は証拠させ残さなければ目の届かないダンジョンの奥では何が起きようとも知りようがないのだ。


 生意気女は学園の戦闘科目でも優秀だったが俺のギフトやS級の冒険者には敵わないだろう。

 問題は学園最強といわれる猫女のほうだが、俺には猫獣人用のあれがある、それを使えば無力化出来るだはずだ。

 そして残るのは世話係のメイド共だけなので楽勝だろう。


 流石に低層階では他の冒険者と出くわす可能性があるので実行に移すとしたら中層階以降だ、生意気女と猫女の実力なら中層階くらいにはたどり着けるはずだ……。


 俺は待ち遠しい獲物を狩る瞬間を想像し、昂ってきた感情を再びボロボロになっていた女達にぶつけてやった。


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