第1話
先程の映像は、犯行声明としてテレビ局に送られてきたものです。
日本各地で、青春時代の記憶が奪われる事件が多発しています。
警察では、被害者達の聴取を行っていますが、いつ奪われたのか全く掴めず、捜査は困難している状況です。
私は、パンを口いっぱいにしながら、音のする方に顔を向けた。
これを見て、映っていた少女の制服が私と同じだったので、もしかしたら犯人は近くにいるかもしれないと思った。
1人で探すのは大変なので、親友を誘うことにした。しかし、本来の目的は、親友である友梨と夏休みを長く一緒に過ごしたいという下心だったが。
――学校――
朝のニュースの性で、遅刻しそうになっている。
早足で教室に向かい、ドアを開けると
「おはよう、彩香。今日は遅刻ギリギリだね」
「ハァ、おはよう、友梨」
「今日は日直の仕事あるの忘れてるでしょ」
「えっ、何かすることあったっけ?」
「担任が明日の日直は、実験の準備手伝って言ってたけど」
「あーー、忘れてたよ。もう、間に合わないし、先生に何か言われる…」
私が青ざめていると、友梨は笑いながら
「嘘だよ、彩香は日直じゃないよ」
「だーまーしーたーな!」
「だって、昨日早く来て、おしゃべりしようって言ったのは誰だったかな?」
「ごめんなさい、忘れてました」
「いいよ、いつものことだから。気にしてない」
「本当にごめん。お詫びに夏休みに一緒に青春泥棒を探しにいかない?」
さりげなくお願いしてみると、友梨の顔は何言ってるのって顔をしていた。
私の額を触りながら、
「どうしたの?もしかして、夏の暑さにやられた?」
「違う!最近ニュースでやってる青春の記憶だけが奪われる事件が発生してるから、一緒に犯人探したいと思って」
「えー、イヤだよ」
「なんで?」
「だって、日本各地で起こっているのに、犯人なんて探せる訳無いでしょ」
「ちゃんと根拠はある!」
「どこに?」
「映像で、映っていた少女の制服が同じに見えた」
「それだけですか?」
「ソレダケデスネ」
友梨の冷たい視線に耐えきれなくて目を逸らす。
「分かった、一緒に探そう」
「本当に?」
「うん、本当だよ。まぁ多分、探すことよりも、私と一緒にいたいからでしょ?」
「さっすがー、友梨はよく私のことを知っている」
「そりゃ、もちろん!彩香の親友だからね」
「やったー!」
私は友梨とハイタッチして、喜んだ。友梨も楽しみにしている感じだ。
やっぱり、友梨はよく私のことが分かるなぁ。
早く夏休みになってほしい!
夏休み初日から、予想外な展開が起こるなんて私はまだ知らなかった。
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