No.72「名探偵の不文律」

「犯人は貴女です」


 名指しされた婦人が、その場に崩れ落ちた。言い逃れられないと分かったのだろう。

 流石は名探偵。完璧な推理だ。


「ああ、それと」


 探偵が更に言葉を継ぐ。


「貴女が毒薬で死ぬつもりなのは知っています。隠し場所は……ブローチ、ですね?」


 野暮な奴だ。名探偵と言ったのは取り消そう。

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