No.54「几帳面な悪魔Ⅰ / 仕事アレルギー」

「仕事アレルギーにしてくれ。アレルゲンってなら、誰も俺に仕事を強要しないだろ」


 俺が頼むと、悪魔は笑みを浮かべて、


「お安い御用だ。ただし、死後に魂を頂くぞ」

「おう」


 悪魔が指を鳴らすと、俺の身体はあらゆる仕事を拒絶した。概念的にも、力学的にも。


 斯くて、俺の魂は悪魔に渡った。

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