No.48「思い出スクラップ」

「前の妻とは死別だったんだ」


 夫が唐突に語り出す。私は黙って耳を傾けていた。


「喪って初めて分かった。彼女を愛していたってこと」

「私はどうなの?」


 前の奥さんに負けてないか、と問うた時、私は気付いてしまう。


「それを確かめたいんだ」


 ──夫がナイフを手にしていることに。

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