No.47「理想の君主」

「“飴と鞭”って、元は悪政を批判する為の表現だよね」


 俺が適当に頷いてやると、弟はさらに言葉を継いだ。


「どこが悪政なのか分からないんだよね。分かる、兄さん?」

「ご褒美と罰を使い分けるんだから、そら悪いだろう」

「えっ、どっちもご褒美じゃ──」

「え?」

「んん?」


 俺の弟は大したやつだ。

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