創作怪談

からいも

第1話:白い服の少年

ある合宿上での話。

早朝、目が覚めた部員同士で集まって話していた。

一階では顧問の先生たちが、二階の、扉を隔てた隣では同じ部活のメンバーが寝ているから声を抑えてなんでもない話をかわしていた。

私は横目で階段が見える場所に座っていて、みんなの話に相槌を打っていた。

同級生の男子と先輩で話が盛り上がっているのを横目に、ふと階段の方に目をやると白いパーカー姿の少年が立っていた。

私は不思議に思わず、ただ「ああ、起きてきたのかな」と思いながら会釈をした。

そのまま先輩たちの話に戻ろうとすると、同じクラスのAが少し不機嫌そうな声で「ちょっと」と呼びかけてきた。

「なあに?」

「なにじゃないよ。怖がらせるようなことするなって言ったじゃん。俺、怖いの苦手なんだって」

「だから何が」

私が不思議に思い返せば、先輩も苦笑しながら「Aが怖がりすぎだけどさ」と一言前置きしていった。


「何もない場所に向かって頭を下げるって、はたから見てるとめっちゃ怖いぞ」


そこで、気が付いた。

私が見たのは部活のメンバーではなかったし、もちろん先生たちでもなかった。

思わず固まった私を不気味そうにAが見ている。

「あれですよ、近所の奴がここに侵入して驚かせたんじゃないですかね」

私の言葉に、Aは何も見てないと返したが先輩たちは以前も同じことがあったのか、ああ、と納得した。


ピンポーン


その時、大きな音が鳴り、みんな肩をびくっと震わせ、音がした方、階段の方を見た。

「なんだお前ら、起きてたのか。あんまり騒ぐなよ~」

眠たそうな先生がそこに立っていた。

この施設は玄関のあたりを歩くと大きなチャイム音が鳴るようになっていた。

私が見た少年は、何の音もたてずに階段に立ち、消えていた。

入口に立つだけで音が鳴るのに、どうやって入ってきたのか。

Aは震えていたし、私も口をつぐんで、うつむいてしまった。




この話を学校に関する怖い話に詳しい先輩に話した。

その時、その宿泊施設には白いシャツを着た少年が良く現れるらしい、という話を聞いた。

「パーカーを着ているのは聞いたことがなかったけどね」

先輩は、そう締めくくった。

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