第10話 苦悩する凛花

 凛花は悩んでいた。

自分の身体の異変に。

人気レイヤーにしか分からない何かがあるのだろうか、上手くいかないことが連続して起きている。

しなければいけない体型維持であったり、肌質の管理の問題であったり。

思春期の高校生にはそれなりに大変なものである。


(ビタミンC、多く摂るか、今日は……で、カサつきがバレないように化粧水多めで……)


それをした凛花だが、あまり効果はなかった。

いや、カサつきは改善されているのだが、疲労感がどっと来る。


(……やっぱり学校行きながらレイヤーやるのって……間違ってるのかな……??)


精神的な疲労が来ているのは明らかだった。

凛花は学校で人気者であるために、オタク文化否定の「」をグループ内で演じなければいけないため、気持ちがせめぎ合っているようにも見えていた。

ストイックすぎるあまりに自分を追い込んでいたのであった。

そのツケが肌の微妙なカサつき具合だったり、精神的な疲労だったりが来てしまっていたのであった。


(わかんない……もうアタシには……分かんないよ……!! どうしたらいいの……!?)


コスプレのイベントが目前に控えている状況下ではあったのだが、凛花は焦りを覚えてしまっていた。

自身のコンディションが最悪な事に。




 イベント当日を迎えた。

フォロワー25万人を誇る凛花には、全国から大勢の客が殺到してきていた。

「火椎リンネ」としてでは勿論あるのだが。

その正体を知る者はただ1人、恵太郎だ。

凛花は恵太郎だけには苦悩を見せたくなかったのだが、どうも胸の痞えが取れないでいた。

イベント終了後、着替えてリンネから凛花に戻り、恵太郎に声を掛けたのであった。

悩みを聞いてもらうために。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る