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@sorano_alice

第1話 前兆

 あたしは空光(そら ひかり)18歳、高校3年生。強いて言うならショートの金髪なツインテールが主な特徴だ。小学時代は呼び名がくうこうとか馬鹿にされてたが中学、高校と歳が上がるにつれ馬鹿にするやつはいなくなり目つきが悪いだの柄が悪いだの言われつつも友達は数人はいる程度だ。大してテストの点数がいいわけでもねぇ、中の下くらいの成績で今も地味に高校生活を送っている。施設で育ったあたしは親を知らねぇ、今は寮で暮らしている。


 よくわからねぇゲーム、あたしはそれを闇のゲームって呼んでるがそのゲーム開催から二か月経過。


 あたしの親戚黒龍連(こくりゅう れん)を利用して、あたしと同じクラスメイトのあたしの高校では最強の人物、月山直人(つきやま なおと)を丸く収めたり、同じく闇のゲームに参加した人物、横口未来(よこぐち みらい)、ロングのベージュ髪をした少女、高校一年生、黒龍と同じだ。続いて中学一年生の花野アリス(はなの ありす)。青い髪の三つ編みの少女は黒いパーカーを被っている。彼女二人と接触することができた。


 まだまだ分からねぇことは山積みだ。今日は寮からいつも通り学校へ通う。特に話しかけてくる生徒はいねぇ、机に到着したあたし。


 そこでやってくる女子生徒、黒いロングの髪はふわふわしている。七塚夢佳(ななつか ゆめか)。あたしの唯一の親友って呼べるところか。相手はどう思ってるかわからねぇけどな。


「おはよー、光ちゃん」


「おう、おはようだな」


「11月も終わっちゃうねー」


「特におもしれぇことなかったな」


「今日は体育があるよ、長距離だって、良かったね」


 あたしは陸上部。陸上には主に長距離と短距離があるがあたしは長距離が好きだ。

 いつも夢佳と話すのが日常だったあたし、だが二か月前のゲーム後以来あたしに興味を持つ人物が現れた。


「おはようございます、光さん、夢佳さん」


「おう、おはよう」


「おはよー、舞さん」


 舞と呼ばれた人物。彼女こそゲーム後以来あたしに興味を持ち始めた人物だ。倉崎舞(くらざき まい)。ロングの髪をしたその人物は無口冷静で何と言っても学年トップの成績、一位を誇る。そして唯一夢佳や他の人物に話しても冗談で信じてもらえなかった闇のゲームを一番真に受け止めた人物でもあるのが舞だ。そして彼女はよくこんな質問をしてくるのだ。


「貴方は本当にこの二クラスある62人のうち30番目の成績の保持者なのですか?その気になればもっと上に行けるのではないですか?わたくし以上に」


「またそれか、意味が分からねぇな」


 あたしはテストの点数は50点や60点という微妙な位置で62人いる生徒の中で順位は30位という良いとも悪いとも言えない順位だ。


「ふふ、まあいいでしょう、そういう生き方もありますからね」


 舞はあたしの何かに期待しているのだろう。確かに運動に関しては舞ではあたしには勝てないだろう。あたしは陸上部で早い方な上に舞は合唱部でしかも運動神経は悪く、最下位に近い。今となっては引退した身のためお互い元陸上部と元合唱部ということになるが。

 チャイムが鳴り席に着く。朝礼が始まる。



 休憩時間、隣の席を見る。昨日からあたしのクラスは席替えをした。短髪で青髪の美少女が座っている。関堂東(せきどう あずま)。その横から見る蒼い瞳に吸い込まれそうだぜ。勉強に関してはあたしより成績は悪いが運動神経はかなりいい方だ。その華奢な体からは想像できない。バドミントン部の今となっては元副部長という立場。一番上手い人物だ。美しいというより可愛いが似合うかもしれねぇ。あたしが男ならこいつに告白してたな、喋らなければな。

 そう、こいつは黙ってれば完璧な美少女の上に運動もできるのだが喋りだすと残念なやつだ。バドミントン部で部長ではなく副部長に選ばれたのもそれが原因だろう。

 また東は関堂桂(せきどう けい)という妹を持つ。弓道部の部長をしているらしく人望も厚い。東の一つ年下の妹で姉と違うところと言えば瞳の色は金色。東と違い言葉遣いも丁寧で彼女こそ完璧な人物と言えるだろう。もちろんモテるらしい。当然だな、当の本人はもう決まっている人がいるらしいが。それに比べて東は。


「次国語なのね面倒くさいわね、まあいいわ、適当に済ませるわ」


 あたしの理想像は完璧に崩壊した。東は片っ端から話しかけてくるスタイル。ちなみに嫌いという意味ではないがグイグイ来るスタイルの東に対して舞は苦手意識を持っている。逆に桂とはそれなりに親しい。


「あ、ちょうどいいわあんた光ね、これなんて読むのわかんないんだけど」


 喋らなければ完璧なんだけどなぁ。


「それは、き、だな。うれしいだな」


「嬉しいって読むのね、分かったわ、嬉しいわ」


 ギャグなのか?

 とりあえず目に映った人物関係なく話してくる東。だが席替えする前からあたしに話してくる率高くねぇか?


「そういえばあんた好きな食べ物何?」


「あァ?作ってくれんのか?」


「いいから答えなさい、命令よ」


 なんなんだよこいつ。


「なら寿司だ」


「駄目よ、それ以外」


「お前から聞いてきたから答えたんじゃねぇか」


「いいから」


「なんならいいんだよ、焼き肉とかどうだ?」


「牛、鳥、豚?」


「牛だな」


「わかってないわねぇ、豚が一番美味いのよ」


「だから何なんだよ」


 訳の分からない東の質問攻めはチャイムと共に終止符を打つ。



 放課後、舞とともに教室を出る。夢佳と東は面接講義だ。あたしと舞はともに大学希望。11月も後半か。勉強しないとまずいか。


「貴方なら大丈夫でしょうね」


「何がだ」


「今頃大学受験の生徒は血眼になって勉強していることでしょう」


「あたしだってそれなりにしてるぜ」


「随分余裕そうですがその余裕はどこから来たのでしょう」


「それはお前にも言えることだ」


「わたくしも対策はしっかりと取っていますよ、まだ四時です、少しは思い出作りでもしませんか?貴方は二週間近く思い出作りをしていたようですが」


「少しくらいはな」


「桂さんのおられる弓道部見学なんてどうでしょう?」


「お前それなりに桂と親しかったもんな、勉強しろって言われて返されそうだが行ってみるか」


 あたしと舞は桂のいる弓道場に行くことにした。



 遠目から見える青い髪の人物。部員に指示をしていた。東、ではなくおそらく桂だろう。桂は東と比べてどちらかというと可愛いというより美しいの部類に入る風格を持ち合わせている。


「ごきげんよう、桂」


 桂があたしたちに気づく。


「光先輩に舞先輩…大学の方は大丈夫なのですか?」


「思い出作りに来ただけですから気にしなくてもよろしいですよ」


「は、はい…わかりました」


 確かに外見は似てるが性格は真反対。どこでどう間違えたんだこれ。

 桂は先輩に見られているのを意識していたのか力んでいるように見えたが、全中。さすがだな。


「そういえば桂さんは土曜日に合同練習らしいですよ、見に行きませんか?」


「受験中だってのに、夢佳と、東はどうだろうな、行ってみるか」


 あたしは舞と弓道部の合同練習を見に行くことになった。


 二時間だけ見学して舞とも別れ、一人帰宅することに。夢佳と東は就職関係で二人とも来れないらしい。帰って寝るだけだな。そんな時声がかかった。


「ちょっとキミ」


 振り向くと小さなガキだ。占い師みたいな恰好をしている。危なそうだ、関わらないほうがいい。


「ボクは三つの占いをランダムに確実に当てることができる、キミは空という名前だね?」


 もちろん会ったことない人物だ。だが名前を当てられた。


「確かにあたしは空光だ。占い当たったからって金払うなんて一言も言ってねぇけどな」


「払わなくてもいいさ、なら占い師のたわごとだと思って聞いてほしい」


「その三つを教えてくれるのか?」


「面白い内容だったからね、まずは一つ目。キミの前世の人物の名前も空、という名前だったよ」


「だから名前がわかったのか?」


 本物なのかもな。


「そうさ、そして二つ目、5人で開催されたゲームがあるようだね。そのうちゲーム内でまだ会ってない人物二人と近いうちに会うよ」


「なに?どういうことだ」


「ボクが知りたいな、どんなゲームなのかな」


 あたしがあの闇のゲームでまだゲーム内で会ってない人物、月山礼、琴吹海利。もし本当にあったならこの人物は本物の占い師なんだろうな。その前にゲームを理解している時点で本物か、ゲームの関係者の線もあるか。

 

 具体的にゲームの詳細を話すが完全には信じてはもらえないようだった。当たり前か。とはいっても舞のように少しは信用している。


「最後だね、Dの大人とはだれのことかな?Dの大人の娘がキミの近くにいるとこの三つが読み取れたよ」


 Dの大人、飛行機で最後に話したあの大人か。あの大人の娘。あたしの近くにもゲームの関係者が存在している?

 その人物についても話してみるがよくできているねで終わってしまった。


「久しぶりに占いしがいのある人物に出会えたよ」


 それだけ言うと謎の占い師と別れた。



 家に着く。もし本当なら前世は空という人物だがこれに関してはどうしようもない。つってもどんな人物だったんだろうなぁ。

 重要なのはここからだ。月山礼と琴吹海利に会える可能性がある。さらにDの男の関係者があたしの近くに存在する。


「ま、ガキの言うことだし期待はしないでおくか」


とはいいつつもあたしは少し期待して眠りにつくのだった。

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