憑依教室(短編)

KH

第1話

○細山交番前(深夜)

 交番の前で警察制服を着た藤二春哉(25)が立っている。人も車も通ることのな

 い静かな時間。藤二、満足げに


藤二「平和だな」


 そこへ暗がりから歩いて藤二の前にやってくる手塚ひより(6)。髪はボサボサで 

 衣服に清潔感はない。

 藤二、驚き急いで声をかけようとするも自分を諫めて深呼吸をする。周りを見るが

 ひより一人で親の姿はない。

 藤二、ひよりの前でしゃがんで


藤二「こんばんは。ひとりかい?」


ひより「……」


 藤二、微笑んでから思いついたようにポケットから飴を取り出す。


藤二「はい、あげる。美味しいよ」


 ひより、恐る恐る飴を受け取り、じっと飴を見つめる。


ひより「助けて……」


 ひより、飴を握りしめて泣きながら藤二を見つめる。


ひより「……助けて、ください」


 藤二、ひよりの手を握る。


藤二「もう大丈夫だよ」


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