勘違いのはじまり

KH

第1話

○漫画喫茶・外観(夜)

 激しく車が行き交う二車線道路沿い。ワンフロアタイプの建物。


○同・店内・個室ブース・中

 リクライニングシートとパソコンが置いてある個室ブース。そこで漫画を読んでい 

 る学校の制服姿の古賀燈子(17)。机には高く漫画が積まれていて、タイトルは

 同一の少女漫画。燈子、つまらなそうにページをめくっている。


燈子N「恋は勘違いだ」

 燈子、漫画を読み終わり訝しげに表紙を見つめる。無造作に漫画を置くと、パソコ

 ンを立ち上げ、アダルト専門配信動画を開き、ヘッドホンをつけて適当な動画を視

 聴し始める。


燈子N「人を惑わせて、馬鹿にする」

   

 過激なシーンが続く間も眉間に皺を寄せてつまらなそうな顔の燈子。

 そこへ画面の隅に店側からのメールが表示される。内容は、十八歳未満の会員様は

 午後十時までのご利用となります。燈子、軽く舌打ちをして動画を止めて立ち上が 

 る。


○同・廊下・中

 スクールバックとカゴに積まれた漫画を手に個室ブースから出てくる燈子。

 角を曲がると、すぐに焦ったように引き返して隠れる。そっと角から顔を出して様

 子を伺う燈子。

 そこにはドリンクバーがある棚を整理している店員、束原 護(17)の姿。

 燈子、顔を戻して苛立つようにため息をつく。


燈子N「私は、生まれて初めての勘違いをしている最中だ」


 眼を閉じて、後頭部を壁に軽く打ち付ける燈子。

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