第14話二人で
二人で夜警の準備をしていると気になる事があった。
「キョーコの真三角剣ってさ、まだ割れてないよね?」
「えっ? そうね……ちゃんと七面あるわ」
やっぱり……霊気を纏わせた三角剣や三角槍の表面の三角は割れない。ちゃんと馴染んでいるようだ。準備万端だ! バイクの後ろにキョーコを乗せて走り出す。夜の十時そろそろ幽鬼共が動き出す頃合いだ。キョーコに念話をする。
「この間みたいにさ霊気を垂れ流して誘い出す?」
「良いんじゃない? 広いところが良いわね殺るなら」
市の陸上競技場まで来るとバイクを停めて、周囲の気配を二人で探りながらそのまま霊気を垂れ流す。かかった!! おびただしい数の気配が近寄ってくる。
「来たよキョーコ! 覚悟は?」
「できてるわよ!」
「上等!!」
四方八方から湧いてくる、おいおいどんだけ潜んでやがった! 槍に霊気を込めて構え幽鬼の群れへと縦横無尽に突撃する。
「はああああああああ!!!」
纏めて穿き消滅させていく。
アチラコチラで光が浮かび上がり幽鬼が纏めて消滅して行く、キョーコの三角結界か!? 随分と強力になっている。アタシとキョーコは間違いなく強くなっている!! 行ける!
「キョーコ!! 一分でいい持たせて」
「任されたわ!」
キョーコは真三角剣と三角剣の連携で幽鬼共を蹴散らしていく、アタシは念を込める。いつもより強力だ。
「キョーコ!! 来て!!」
キョーコが幽鬼共を引き付けてアタシの元まで来る。
「吹っ飛べえええええええええっ!!!」
地面に気合と共に槍と霊気を突きつける。霊気の神気の嵐に巻き込まれ、幽鬼共を消滅させる力に自分でも驚く。まだ力が湧いてくる実感していると遂に巨大な人型幽鬼が姿を表す。
「キョーコ、大物のお出ましだ! やっちゃう?」
「やらないと!」
キョーコの三角剣が鞘から飛び出し幽鬼を切り裂いていく。アタシとキョーコがそれに続き斬りかかる、にしてもデカい斬り裂いても修復していく何なのよもう! キョーコの三角剣が幽鬼の首元で動きを止めている、まさか……
「はっ!!」
首元で三角結界が発生し、さながらギロチンの様に幽鬼の首をはねる。そのまま手を振り下ろし、首から下へ三角結界を降ろしていく幽鬼の身体が真っ二つに裂ける。恐ろしい戦い方をする、キョーコだけは怒らせないでおこう……幽鬼が動かなくなり頭を残し止めを刺す。
「見えてる? 聞こえてる? どっちでもいいけどさぁ」
「近いうちに会いに行ってやるよ! だから待ってろそこで!!」
槍で穿き、キョーコが斬り裂いた。
■ ■ ■
何なの何なのよこの力は、わざわざ幽鬼共を集めさせたのに。もう幽鬼共が相手にならないというの? そんな馬鹿な……
「見えてる? 聞こえてる? どっちでもいいけどさぁ」
「近いうちに会いに行ってやるよ! だから待ってろそこで!!」
そこで幽鬼との繋がりが途絶えた。待ってろですって? どうやって私の元まで来るつもり? 小娘が! 幽鬼共をまた集めないと……服を脱ぎ捨て、幽鬼共を呼び出す儀式を始めた……
◆ ◆ ◆
「何とかなったね!」
「不思議な……気持ち……力が湧いてくるようだったわ」
「キョーコも? アタシもだよ」
お互い無傷だ、穢もない。幽鬼共の気配が消えて静か過ぎる夜に覆われる。
「暫くは動きが無いだろうね多分……」
「だと良いけれど」
「帰ろうか? 動きが、もしなければゆっくり休もう。オッサンに報告もしなきゃね」
「そうしましょうか」
最後に辺りを見渡して帰ることにした。
部屋にて今後の方針を決める。とりあえず無茶苦茶な方法だったが幽鬼共の大半は減っただろう。少し余裕ができたが別の問題が出来た。さっきの一撃で分かったが、三角槍が私の霊気を受け止め切れなくなっている。幸いな事に槍自体は無事だ。う〜ん一旦白山へ行くか?
「マキ? 私二人の女神様の事が気になるの」
あぁ師匠に言われてたっけ
「じゃあさ明日ちょっと先に白山行ってもいいかな? 帰り道にえ〜っと」
「ヒエ様は日枝神社、ヤエ様は八幡神社よ」
「オッケー! じゃあさっさと風呂入って寝よう」
キョーコがモジモジっとしてる、しょうがないなぁもう。
翌朝キョーコはもう起きていた。幸せそうに朝食を作っている。
「おはよ〜」
「おはようマキ、直ぐに食べれるわよ」
「じゃあお願い、シャワー浴びてくる」
普通ならきっと何も知らずに良い主婦だったんだろうな。キョーコとは近いうちに離れる事になる、家庭に戻って行くキョーコ……当たり前の事だ。はっきり言わないと! いやもう言ったんだけどさ、あれは勢いもあったし……シャワーから出てキョーコと向かい合い朝食を食べる。
「あのさ……キョーコはさ結婚してるじゃない? 事件が終わったらさ……家庭に戻るよね?」
「アタシもこんな気持ち初めてでさ、率直に言うよ。正直帰って欲しくない。何時までも二人でいたい!!」
正直に伝えた
「私だって同じ気持ちよ……でも……私が先にオバサンになっちゃう、でも努力はする」
あれ? そんな話じゃ無いんだけど
「いやキョーコ家庭はどうするの? アタシはそっちの話をしてるんだけど……」
「あっそうよね……夫は優しくて良い人よ、でも……あの時、私を助けてくれたマキの気持ちを聞いた時。心がすっとした」
「今迄曇っていた心に光が差したの。こんなにも真っ直ぐに気持ちを伝えられた事が無かった」
「お願いよマキ……これからも側にいさせて」
「ヒカルちゃんはどうするの?」
「全てが終わったら。家族と話し合うわ」
おいおいおいおい
「まさかキョーコ……」
「私の心にはもうマキしかいない、後悔しないしたくない!!」
「じゃあ全てが終わるまでキョーコはアタシの嫁だ!」
「もう気持ちは嫁いでいるわよ、ヒカリも宜しくね」
ちょっとまて……色々ヤバい事になってきた、街を救っても一つの家庭が壊れる。頭痛がしてきた。とっとりあえずこの話は先送りだ。
「キョーコ白山へ向かうよ!」
霊峰白山、アタシが師匠と修行した山だ。早速お手水で身を清め山道を行く。母屋を勝手に開ける爺さん居るかな?
「お〜い爺さん居るか? マキだよ!」
「聞こえとるわ!」
奥から顔を出す
「ご無沙汰しています」
「おや塚田さんでしたかな?」
「はい!」
勝手にあがるとキョーコもついてきた。
「まだまだ寒くてな、こっちに居るんだ。で? また何かあったのか?」
これまでの出来事を爺さんに聞かせる、アレな部分は言わずに。そしてアタシの気を見せたら驚いていた。
「霊気に神気……呪力までとはな。」
「だから槍が受け止めきれそうに無いんだよ、何か良い案ない?」
「『アレ』は試したのか?」
「それは最後の切り札じゃん! だから来たんだよわざわざ!」
「だったら手土産でも持ってこんかい!」
「あっ塚田さんはごゆっくりとどうぞ……」
爺さんキョーコと何かあったのか?
「爺さん!」
少し待てと言われ、爺さんが何処かへ行って大きな紙を持ってきて広げる。
「これって三角槍の設計図じゃん何? 改造とかしちゃう?」
「いやここだよ」
穂の先端を指差す、そういえば槍作っていた時に確か。カチッと音を立てて外れる
「ここの穴って結局なんだったの?」
「そこに八神さんの三角剣が収められるようになっとる。帰ったら収めてみい」
「分かった帰ったら早速試すよ」
「私から良いですか?」
「お答えできる事であれば」
「ヒエ様とヤエ様のこと何ですが今どうなっているのでしょう?」
「ふむ……女神様は今は眠っていらっしゃる様ですな……人為的に」
「なんですって!」
「師匠が叩き起こせってまさか……」
「急いだ方が良いかもしれんぞ?」
「爺さんアタシらすぐ向かう!」
「今度は手土産持ってこい!」
「マキここからなら日枝神社が近いわ!」
「分かったナビ宜しく!」
昼過ぎの日枝神社に到着すると別段変わった雰囲気は感じない。……だがアタシにはわかるこの気配は……
キョーコを連れて日枝神社周辺を歩く
「どうしたのマキ? 顔が怖いわよ」
黙って歩く……そして見つけた
「これは……」
「五年前アタシがガキだった時に作った物と一緒だよ」
何かの顔が彫られた呪物が地面に刺さっていた。
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