僕だけの道標(短編)

KH

第1話

〇道(夜)

 スーツ姿の丸山賢太(24)が全力疾走で走っている。

 角を曲がると、走ってきた全身黒い服の男と鉢合わせる丸山。

 丸山、驚きへっぴり腰のままで


丸山「けっ、けっ警察だ!」


 男、後ずさり、引き返そうとするも後ろから黒野巴(24)が走ってくる。


巴「やっと追いついた。なかなか脚早いわね」


男「くそがっ」


 男、ポケットからナイフを取り出す。

 丸山、ナイフを見て呻く。

 巴、嬉しそうに笑って


巴「いいねぇ。くそ野郎はそうでなくちゃ」


 巴、構えて挑発するように手招きをする。


男「このアマが。なめやがって」


 丸山、その様子を見ながら


丸山「(小声で)こっちにくるな、こっちにくるな」


 男、巴に向かおうとするも反転して丸山へと向かっていく。


巴「えっ、マジ?」


男「どけや! 腰抜け野郎」


丸山「うわぁぁっ!!」


 丸山、眼を閉じながら男が振ってきたナイフを躱し、掴んで一本背負いを決める。

 男、呻く。

 巴、感心しながら


巴「おぉ~。丸ちゃん、手錠手錠」


 丸山、はっとして男の後ろ手に手錠をかける。

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