桜の季節

ぽつねんの竜

第1話 ココロ


午前2時まで部屋の明かりが点いているのには、きっと理由があるのだろう。

 部屋には、大して笑えないラジオが淡々と流れている。集中でも出来れば良いのだが、こう毎日続くと、それは容易ではない。

「ったく、毎日毎日勉強ばかりで学校でも家でも勉強だよ。そりゃ頭が良けりゃ、きっと将来も明るいだろうよ。でも、そんな先の見えた人生なんてつまらない。」

 そんな事を心の中で、いや少しばかり声に出ていたかも知れない。この際どちらでも構わない。

 現実は変わらないのだ。

 国語が終われば、数学、日本史等々、頭の容量を大幅に超えた情報量を入れなきゃならない。入る訳がない。

 でも、どこかで先の見えた人生も良いなと思ってしまうから、勉強しなきゃと思うのだろう。

 そんな両面の気持ちを持ちながら一つ一つ、頭に入れていく。

 ラジオのパーソナリティも変わり、時計に目をやる。あれから2時間経っていた。

集中はしていなかったが、時間は進んでいた。でも特に影響はない。明日、いや、今日は休みなので欲に負け続けていれば、夕方くらいまでは寝ていられる。でも、折角の休みだ。そんな無駄な事はしない。

そんな事を思いながら、椅子からベッドへと体を預けた。


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