ドラゴンに殺られそうになって(電車にはねられそうになって)気が付いたらOLになっていた(気が付いたら魔術師になっていた)件
第484話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下十階の朝風呂のガールズトーク
第484話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下十階の朝風呂のガールズトーク
サツキの宣言に、ウルスラは暫く考え込む様にしていたが、やはりちらちら視線が胸にくる。余程コンプレックスなのかもしれない。昨日あれだけ酔いながらも胸のことばかり言っていたので、そうなのだろう。小ぶりだけど形が良くて可愛いよ、とでも言ったら嫌味だろうか。これは一応本心からなのだが。
サツキは、出来るだけ湯船に身を沈めることにした。サツキのその行動で、ウルスラは自分がサツキの胸を凝視していたことに気付いたらしい。照れくさそうに、
「あ、ごめん。見過ぎちゃったわ」
と、言った。そして溜息をついた。
「でも、リアムに直接確認かあ。そんなこと出来るのかしら?」
「ユラが紹介してくれた鑑定士のリュシカさんて人がね、可能だって教えてくれたの。ただ、方法までは教えてくれなかったけど」
迷った時はリアムの意思を確認してみるといい、とリュシカは言っていた。サツキは正に今、迷っていた。このままここにいていいのかと。いたいということと、いていいことはまた別の話だと思うから。
そしてもしリアムがあちらにそのままいてもいいのかと迷っていたら、その時は伝えてあげたい。いいよ、と。サツキに遠慮しないでいていいんだよ、と。もし戻りたいと言うなら、それはその時だ。サツキにはそれを拒む権利はない。
皆と別れるのは辛いけど、特にユラとは離れたくないけど、だけど離れたら諦めることも出来るんじゃないかとも思う。
本当は、自分の物にしたいけど。
サツキには、今までこんな強烈に誰かを欲したことなどなかった。まるで絡みつく
ウルスラは、サツキをじっと見つめた後、ポツリと言った。
「何かサツキ、逞しくなったね」
「そう……かな?」
「うん。堂々としてるっていうか、芯が一本通ったっていうか」
「えへへ……嬉しいな」
だったらそれは、ユラのお陰だ。ユラがサツキに自信を持て、大丈夫だと言い続けてくれたからだ。そしてユラがサツキをこの世界に留めようとしてくれているのが分かったからだ。
ここにいてもいいのだと言われた気がしたから。元の世界では、誰一人そんなこと言ってなかったから、余計それが自信に繋がったのだろう。
「皆のお陰だよ」
勿論ウルスラだってサツキの大切な友人だ。絶対失いたくはなかった。
「嬉しいこと言うじゃない。……その魔法陣の話ね、それは前にカントのギルドで小耳に挟んだ話なんだけど、伝説の魔法陣の描き方が書いてある古文書がカントにあるとかないとか」
「カント……」
何だか聞き覚えのある町名だ。どこで聞いたっけ。ええと。
「あ、ユラの」
「え?」
しまった。これは内緒だとユラに言われていた話だ。
「あ、いや、ユラにカントって町があるんだよーって聞いたことがあって」
「ふうん? あの無愛想な無口の男が、なんでサツキにはペラペラ色んなこと喋るのかしらね。……まさか、惚れてるとか!? サツキ可愛いし、あり得るわね!」
ウルスラが急に目を輝かせ始めた。
「いや、ない。あり得ない。これメタモラだし」
「でもやたらとサツキサツキって言ってるじゃない」
「ないの。ないよ」
ユラの好きな人は男の人、アールだ。だから中途半端なサツキでは絶対にあり得ない。
「それよりもウルスラの話を聞かせてよ」
サツキは話題を無理やり変えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます