第452話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョンの夕飯の支度の続き
スライムの食事は、魔力。
「分かった。だから女の子のラムは女のサツキにくっついてんだよ、きっと!」
ユラがそう言うと、ラムが更にこくこくと頷いた。
「私、身体はリアムだけど」
「でも中身っていうか精神は女だろ」
「そういうもんなの?」
「そういうもんなんじゃね? 多分、リアムの身体だろうが魔力はサツキの魔力に切り替わってんだよ。だから女の魔力を食えば、ラムもより女っぽくなるってことだ」
すると、すでに少し酔っ払い始めたウルスラが赤い顔で言った。
「そうしたら、ラムもその内サツキみたいにおっぱいが大きくなるのかな」
「もしもしウルスラさん?」
「そうすると、もしかして私はラムにすら胸の大きさを追い越され……!」
そして顔を両手で覆ってしまった。慰めようがない悩みだ。すると、横にいたアールが優しく頭を撫で始めた。
「俺は大きさなんて気にしないぜ、ウルスラ」
「本当……?」
ウルスラが涙目で顔を上げてアールを見上げると、アールが決め顔をして頷いた。話している内容はくだらないが、慰めようという気概は伝わる。
すると、ユラが雰囲気を台無しにするひと言を放った。
「俺はやっぱりどちらかと言わなくてもサツキのを触りてえ」
「遠慮させていただきます」
「そっこー断るなよな。俺はまだ諦めてねえからな」
何かを言っているが、サツキは無視をすることにした。それよりもウルスラだ。ユラのひと言で、回復しかけていたダメージがぶり返している。再び顔を覆っていた。
「そんなに胸がいいの……? 胸がないと女じゃないの……?」
「ウルスラ、そんなことないぜ! 俺は大きさよりも、形の方が大事だと思う!」
「形……分かんないわよ、何がいいとされているのか分からないいいいっ」
どう声を掛けていいやら分からず、サツキは暫く戸惑っていたが、意を決してウルスラに言うことにした。
「ウルスラ!」
「……胸の大きい人が何か言ってる」
ダメージは相当深い様だ。
「前も言ったと思うけど! 私、この胸の所為でずっといやらしい目で見られたり知らないおじさんにわざと触られたりとかしてたから、いい思いなんてしてこなかったよ!」
「サツキ……そうか、前に言ってたわよね……」
すると、ユラが水場で手を洗いながら驚いた顔をした。
「お前、知らないおっさんに胸触られたのか」
「乗り物の中とか、会社の偉い人がさり気なく触ったりとか、嫌な思いは一杯したよ」
「だから触られるのを嫌がってんのか?」
ユラに関してはそういう訳ではないが、ここはそう言っておいた方が無難そうだ。だが口に出すのは余りにも恥ずかしいので、頷くに留めた。
すると、ユラがこめかみをぽりぽりと掻きながら言った。
「あー……。じゃあ俺が今までサツキに言ってたことも、嫌だったんだな。その、悪かった」
まあユラの発言は大分セクハラではある。だが余りにもストレート過ぎる為、断り易さはあった。
「分かってくれればいいよ」
「ああ、何か別の方法を考えるから」
「はい?」
「まあ俺は見知らぬおっさんとかじゃないし若いイケメンだからな、その辺りの差も多少考慮には入るんじゃねえかと」
サツキは再び無視をすることにして、「ウィルウィンド!」と唱えると、肉を骨ごと輪切りにしたのだった。
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