第15話 子ナッターズ侯爵が増えてしまったわ・・・
実践!!ですわ!
もう、魔法の練習をして、1ヶ月弱。ふ~、大変だったわ~。なんて、ただ遊んでいただけな、感じだったわ。
今日はなんと、実際に魔物を倒してみようとなったのよ。それで、私たち6人は大人組に入れられて、王都から比較的近い森の中に連れて来られたの。あ~、ジュリアンナ当分のお別れだわ~悲しいわ~。
でも、この『エレセイ』乙女ゲームに魔物って出てきたかしら?前世でプレイしていた時は、出てなかったと思うのだけど・・・もちろん、聖獣とか魔族とかは、がっつり絡んでいたから覚えているわ。聖獣と契約して、メインキャストたちと魔王誕生を試みる魔族と戦うのよね~。そして、ヒロインのエレノアが聖獣の力を借りて魔王誕生を阻止するのよ~。かなり、悪戦苦闘するのだけど、メインキャストの中に勇者の卵がいれば余裕で勝っちゃうの!契約する聖獣によって使える力が違うから、アニメーションもそれぞれ違うの。もちろん、私は全パターン制覇したわ。恋愛だけじゃないから、男女関係なくハマる人が沢山いたのよね~。
きゃー!早くエレノアに会いたいわ!!チャンスはエレノアが5才の時よっ。幼なじみの男の子が命に関わる大ケガをした時に、エレノアは助けたい一心で突然能力が開花して、癒しの魔法で治すの。ちなみに、その幼なじみは将来勇者の卵になるのよ~。それで、癒し系や聖属性の魔法は希少だから、能力判定をするために王都に呼ばれてお偉いさんの前で能力判定をするのよ。本来だったら、能力判定をする人たちを自分の領地に呼ぶのだけどね。それが、エレノアが5才の時なのよー!・・・あ、でも、国を上げて魔法の教育をしているのだから、癒し系や聖属性の魔法って今は希少じゃないのよね・・・他の何かで王都に来れないかしら、とても困るわ。
あ、そうそう。今は、実際に魔物を倒す訓練よね。『エレセイ』のことになると、我を忘れてしまうわ~。中毒性があるのよね~。
「じゃ、早速やっちゃおうか~」
はい、もちろん、私たちの担当は、ナッターズ侯爵ですわ・・・。
「「「「「はい!」」」」」
「・・・あい」(・・・あい)
組分けは、私たち子供6人一組として、1番魔法に長けているナッターズ侯爵が面倒を見ることになったのよー。表向きわね・・・私が子供たちの引率するって聞かなくて、魔法団のお兄様たちに駄々をこねてみんなが折れたわ。で、子供たちは纏めて面倒を見た方が良いよね~、ということで押しきっていたわ。
はぁ~、みんなが張り切って返事をするけど、彼がいるから私は気が重いわ・・・。
大の大人がね、子供に圧をかけてくるって、大人気ないと思うわないかしら!?ちょっと、
「みんな、索敵の魔法のサーチが出来るかな~?」
「できるよ」
「もんだいないですよ」
「まかせろっ」
「はい、だいじょうぶです」
「ん」
「あい、じぇきゅみゃしゅ」(はい、できます)
ナッターズ侯爵の問いに、ルーカス、エドワード、アンドリュー、カーティス、デュラン、私の順で答えたわ。
「じゃ、やってみてね~」
各々で索敵の魔法を使って、魔物を探していくわ。私のサーチのイメージは、テレビで見たことがある飛行機や船のレーダーよ。確か、電波を発射して、その反射波が返ってくるまでの所要時間を測定して、距離に換算することで、それぞれの物標までの正確な距離を知ることができるとか、何かでやっていたのを見た覚えがあるわ。これを電波じゃなくて、魔力に置き換えればもっと鮮明に分かるんじゃないかしら!
ふっふっふ~。試してみましょう~。
確か、魔力って分かる人は分かるのよね・・・魔物が人より敏感で気付かれたら大変だから、気付かれないくらい薄くしましょう。
どこにいるかしら~どこにいるかしら~どこにいるかしら~ふんふんふ~ん。
あっ!居たわ!凄いわ~魔力だと姿形がハッキリ分かるのね~。でも、これ何かしら?形や動きからしてスライムっぽいのだけど、それにしては大きすぎるわ・・・ま、倒してみましょう!
森の中だから火の属性魔法はダメでしょうし、スライムに水の属性魔法って、更に大きくなりそうだから嫌だわ。あ、逆に水分を蒸発させちゃったらどうかしら?
近付いて気付かれて逃げられたら嫌だから、この場で魔法を使っちゃいましょう!水分を取っちゃう~水分を蒸発させる~体内の水分を全部無くしちゃう~・・・ん?でも、この魔法って何の属性になるのかしら?水に関するから、水属性の魔法かしら?あ、終わったみたいだわ。少し離れているから、魔法で身体強化して行ってみましょう!
とーん、とーん、とーんっと!
凄いわ!300mくらいの距離があったのに、三歩で来れたわ!これだったら、もっと身体強化の魔法を使っていれば良かったわ~。それなら、よちよちしてるなんて言われなかったもの~。
「きょれぇ、にゃにぃきゃしりゃ?」(これ、何かしら?)
魔物を倒した場所に、私の頭と同じくらいの大きさの石があるわね。色は黒だけど、玉虫色のようなオーロラのような感じで、妖しく輝いていて不気味だわ。触っても大丈夫かしら?触った所が爛れたり、黒く変色しないかしら?ちょっと、その辺に落ちている木の枝でつついてみましょう。
つんつん・・・つんつん・・・何も出ないわね。木の枝も変色ないわ。
よい、しょっ!
う~ん、他にも変なの落ちているけど、身体強化しても私が持てるにはこれだけよね。何か、良い方法がないかしら・・・あ!あのネコ型ロボットの四次元ポケットよ!時間の要素は存在しなくて、四次元の空間に無限に物体を収納することができる、あのポケットを応用すれば良いのよ!例の道具がたくさん載っている本で、読んだことあるのよね~。
無限に広がる異空間に物を入れるイメージで・・・でも、無造作に収納しても、何処に何があるか分からなくなるわよね。分かりやすく、パソコンやスマートフォンのフォトアルバムみたいにしましょう!これなら画像を見ただけで、何があるか分かるわ。空きフィルダーを作っていけば、無限に収納出来る感じにするのよ!良いこと思い付いたわ~。この落ちている目玉みたなのに、触らずに収納出来るようにしましょう。
ポン、ポン、ポーンっと!
「何をやっているのかな~。ルーナ嬢~?」
ビクッとしてしまったわ!突然、後ろから声をかけないでほしいわ!!
「・・・ちゃおしちゃみゃみょにょおしまっちぇちゃにじぇしゅわ」(・・・倒した魔物を仕舞っていたのですわ)
「仕舞う~?」
「あい」(はい)
「何に仕舞ったのかな~?収納鞄かな~?それともアイテムボックス~?インベントリだったりして~?」
「にゃみゃえわわきゃりゃにゃいきぇじょ、みゃひょーじぇしゅわ」(名前は分からないけど、魔法でですわ)
「魔法~?じゃ、仕舞った物を出してみてよ~」
ナッターズ侯爵とそんなやり取りをしていたのだけど、いつの間にかみんなが集まってきたの。
「なにか、もんだいでも?」
「どうしたの?」
「どうしたのですか?」
「なにやってるんだ?」
「ん?」
ルーカス、カーティス、エドワード、アンドリュー、デュランの順で近付いて来たわ。
「しまっちゃみょにょお、じゃしゅちょきょりょじぇしゅわ」(仕舞った物を、出すところですわ)
「「「「「だす?」」」」」
珍しいわ、デュランが「ん」以外で声を出したわ。
フォルダーを出して、壊れた大変だから収納した物を地面に出していくわ。
「「「「「なにもないところからっ!?」」」」」
カーティスたちが驚いているなか、ナッターズ侯爵は「うん、うん、インベントリか~想定内~想定内~」と呟いているわ。でも、収納フォルダーから出した石を拾い上げて、まじまじとそれを見て、固まっちゃったのよ。
「ルーナ嬢~?君は何を倒したのかな~?」
「おっちーしゅりゃいみゅじぇしゅわ」(大きいスライムですわ)
「大きいスライム~?」
本当のことを言ったのに、ナッターズ侯爵は、「いや、違うよね~」という感じで首を捻っているわ。
「くいーんか、きんぐかな?おおきなすらいむのしゅるいって、それくらいかな・・・」
ルーカスが顎に手を当てて、そんな事を言ってるわ。4才なのに仕草が大人だわ・・・。
「それより、いしとへんなものがとつぜんでてきたのなんでだ!?」
アンドリューが、食い気味に聞いてくるの。ルーカスは王子様よ、いくら仲が良くても礼儀っていうものがあると思うのわ。
「・・・みゃひょーよ」(・・・魔法よ)
「まほうで、そんなことできるのか!?」
「そんな、まほうがあるんだね。しらなかったよ」
「そうなの?るーなはすごいね」
「ぜひ、おしえてほしいですね」
「ん」
アンドリュー、ルーカス、カーティス、エドワード、デュランの順で、そう言いながら私を囲むのは止めてほしいわ!みんな、ナッターズ侯爵に似てきたんじゃないかしら!?
「それは私が後で教えるから~。先ずは、この石の話をさせてね~。これは、倒した魔物から取れる魔石なんだけど、スライムの魔石じゃないんだよね~」
「ん~?きゃたてぃぎゃ、しゅりゃいみゅにぃにぃちぇちゃわ。じゃきゃりゃ、しゅりゃいみゅじゃちょおみょいみゃしちゃわ」(ん~?形がスライムに似てたわ。だから、スライムだと思いましたわ)
「ん~。でもね~、鑑定したところ、これはショゴスだね~」
「しょぎょしゅ?」
「「「「「しょごす?」」」」」
「うん、スライムより大きいし、強いからね~。でも、ショゴスっていつもは森の奥にいるんだけどな~。何故、ここまで出てきたんだろ~?・・・それよりも」
この後、またナッターズ侯爵が圧をかけつつ、詰め寄ってきたの・・・そして、全て吐かされたわ。もう、勘弁してほしいわ~。
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