ゆうちゃんの歌
涙が止まらない。次から次へと。今、作られた涙だけじゃなくて、ずっとずっと昔から作り溜められてきた涙が今になって溢れ出してくる。ゆうちゃんに出会って、どんどん好きになって、好きが大きくなればなるほどいつの間にか哀しくなって。
「次が最後の歌かなぁ…。」
歌い終わったゆうちゃんが、そう言って小さく息を吐いた。
「実は、さっき出来上がったばっかりの歌があって。披露するのはもちろん、ちゃんと歌うのも始めてなんだけど…歌っちゃってもいい?」
ゆうちゃんが、ピアノでコード進行を確認している。こんな日に歌を作っちゃうなんて…。泣きすぎて鼻がグズグズしている。一生懸命、聴かなくちゃ。
「ピアノ間違えちゃったらごめんね。緊張する…。歌うね。」
ゆうちゃんのピアノの伴奏が始まる。
それは初めて聴く優しくて哀しいメロディーだった。
誰と食べても甘くなかったのに
はじめてだよ こんなに甘いの
右が左になるくらい 君が変えた世界
フラフラたどり着いたいつもの
部屋は冷たいまるで別世界
もう歌えなくなるかもしれないくらい
落ち込んでるよ助けて欲しいよ 君に
言葉が足りない2人の世界
もう1度だけ託してその未来
時計を逆にまわして
出来るはずだから今度は丁寧に
何を食べても苦く感じてる
はじめてだよ こんなに辛いの
右も左も分からない 君が居ない世界
クラクラ眩暈が治らないずっと
色を失い曖昧な視界
もう笑えなくなるかもしれないくらい
会えるなら二度と離さないよ 君を
何故満たされないまるで機械
もう1度だけここに来てくれたら
壊れるほど笑わせて
伝えるから今度はちゃんと
好きだよ
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