第13話 交渉開始②
瑠衣side
目の前の男達、副長官とその部下2人の第一印象は気持ち悪いだった。
私の能力上、この男達が思っている事は全て私の頭の中に流れてくるのだが、ここまで気持ち悪い人達は、初めてというくらい、醜い欲望と不愉快極まりない言葉が
正直吐きそうだが、それをグッとこらえて目の前の男と対峙し、話し合いが行われる。
セグ「それでは、対談を始めます。私は公平な立場としております、そして念の為、この対談を録音させていただきます、ご理解くださいませ。」
副長官「うむ。」
瑠衣「分かりました。」
セグ「それでは、クローバファミリー側の要求を言ってください。」
瑠衣「…こちらの要求は、我らがボスを返していただきたい。そして、連れていった根拠をお聞かせ願いたいね。」
セグ「…それに対する返答をお願いします。」
副長官「そんなもの認められる訳ないだろう?フリーエリアでの戦闘、他ファミリーの要人の殺害及び大量虐殺。こんな大犯罪者が外を
瑠衣「それをやったという証拠は?」
副長官「捜査資料に全て書いてある。これを見てみればいい。」
セグ「…こちらの正当性を認めます。」
資料を見たが、どれも偽装されたものばかり、しかし、正当性があると判断されるということは、正式な書類として認められているのだろう。
しかし…。
瑠衣「それはおかしいですね。」
副長官「…なんのことかね?」
セグ「クローバ幹部様、詳しい説明をお願いします。」
私は資料を副長官と特殊監査人に渡す。
瑠衣「僕達のボスは、グリドール=アンセット並びにワールファミリーの要人に誘拐されたと聞いてます。その時に戦闘があったことは事実ですが、正当防衛の範囲内であり、フリーエリアとはいえ認められるべきものだと思いますが?」
副長官「そんなもの、どこに証拠がある?」
卑しい笑いを浮かべ、無造作に資料を机に放り投げる。
瑠衣「情報の正当性はそちらの資料に全て記してあります。」
セグ「正当性を認めます。」
副長官「バカにするのもいい加減にしたまえ、こちらも捜査をしてこの資料を作っているのだ、ワールファミリーの要人の事情聴取もした。その証言も取れている。それは偽造ではないのか?」
瑠衣「それはありえませんね。こちらもボイスレコーダーで録音していますので、証拠も残してます。」
副長官「それなら尚更、偽装出来るのではないのかね?」
瑠衣「なら、確かめてみますか?」
セグ「それではそのレコーダーを再生しても?」
瑠衣「どうぞ。」
セグ「副長官殿も良いですね?」
副長官「聞こうではないか。」
レコーダーを再生すると、リードベルグ嬢と愛凛の会話の音声が流れる。
これは、先程、僕が言った事の裏を取るための物としては十分だろう。
セグ「この音声を証拠として認めます。」
副長官「こんなものいくらでも偽造出来るだろう?」
瑠衣「それが出来ないのはあなた方が1番理解しているのでは?」
副長官「なんだと?どういう事だ?」
瑠衣「レコーダーをよくご覧下さい。」
そう言うと、レコーダーを凝視した副長官は目を見開く。
副長官「…これは?!」
瑠衣「そう、これはあなた方が採用しているレコーダーを使用しています。
偽造が出来ないのはあなた方が1番理解しているはずです。」
副長官「ぐぬぬ、分かったぞ、辻褄を合わせたな?!このワシを騙せると思うなよ?!」
瑠衣「根拠の無いことを言わないでもらいたい。話をしている相手は栄えあるリードベルグ学園の理事長、嘘の証言をするはずがないでしょう?」
もし、リードベルグ嬢が嘘の証言をしたりしたのなら、裏社会の信用は地の底に落ちる。
そんなリスクを冒すことは余程の馬鹿では無い限りしないだろう。
セグ「それ以上、これに対する反論はありますか?副長官殿。」
副長官「こ、こんなもの信用なるか!確実な証拠とは言えんだろう!」
瑠衣「…分かりました。そこまで言うなら、確実な証拠を出します。」
喚き散らしている男に更に追い打ちをかけるように、僕はある書類を出す。
瑠衣「それは、ワールファミリーとグリドール=アンセットが結託して、私達のボスが誘拐された証拠です。」
セグ「これは…計画書ですね。」
副長官「こんなものがなんの…っ?!」
どうやら気づいたようだ。
出したものはドン・ワールの署名付きの計画書だ。
これには、しっかりと黒葉 凛怜を誘拐する計画が書いてある。
これがあるということは、ワールファミリーから先にこちらに手を出した事を証明することになる。
セグ「こちらの書類の正当性を認めます。」
副長官「ば、ばかな…。」ガクッ
瑠衣「僕たちのボスを返していただけますね?」
セグ「これ以上、続けても無意味だと判断し、そちらの要求に応じる措置を取らせていただきます。それでよろしいですね?」
副長官「ばかな、そんなばかな…。」ブツブツ
ブツブツと同じ言葉ばかりを繰り返している副長官に呆れ顔のセグレットは。
セグ「…特別監査人にとして、クローバファミリー側の要求に応じます。ドン・クローバの手錠を外してください。」
そう言うと、凛怜の近くにいた美桜が手錠を外す。
そして、凛怜は笑いながら、僕達の元へ歩き、一言。
凛怜「ただいま。」
あぁ、数日ぶりの凛怜の声だ、僕は泣きそうになりながらも、返答をしようとしたが。
凛「凛怜にぃぃぃぃぃぃ、おかえりぃぃぃぃ!」
凛怜「おっと?!ふふ、ただいま。」
凛が凛怜にすごい勢いで抱きついたのだ。
凛怜は、バランスを崩しそうになりつつも、受け止める、羨ましい…。
怜「…兄さん、おかえり。」
凛怜「おう、怜、ただいま。」
凛怜がそう返事をすると、何かソワソワしだした、怜から何かを察したのか。
凛怜「怜、おいで。」
怜「…!うん!」
片方の腕を広げ、怜を呼んだ。
怜は、嬉しそうに凛怜に抱きつき、そのまま顔をうずめた。恐らく泣いているのだろう、少し身体が震えているようにも見える。
ぼ、僕だって抱きつきたかったのに…。
その想いは、紅葉姉さんと愛凛も同じだったようで、羨ましいといった視線を凛怜に送っている。
それを察したのか。
凛怜「後で…な?」クチパク
と、僕達に向けて言ってきた。
それで、渋々ではあるが、納得し、今は救出出来たことを喜ぼうと、思ったその時。
副長官「認めん、こんな結末認めんぞ!貴様ら!」
と、副長官が大きな声で騒ぎ始めた。
その声を皮切りに、後ろの部下2人も恨めしそうな目で、こちらを睨んでいる。
副長官「貴様らなんぞ、ワシの権力を使って、捻りつb ??「何をするつもりかね?」」
副長官の言葉を遮り、誰かが入ってきた。
セグ「あ、あなた方は!?」
セグレットの驚愕している様子を尻目にそちらに視線を向けると。
50代くらいの男性とまだ若い30代くらいの男性が堂々とした振る舞いで立っていた…。
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