第21話 紅色の怒り
紅葉side
エリス「なんですって!?」
私がこれまで起きるであろう事を理事長室にいるエリスに告げると、エリスは驚きと怒りで震えている。私たちは机を挟んで、向かい合ってる状態でそれぞれ座っている。
エリス「なんで、現行犯で捕まえないの!?もしかしたら、凛怜たんに対してあんなことやこんなことをするかもしれないのよ!?」
エリスが怒鳴るようにそう捲し上げる。
確かに気持ちは分かる。私だって、そうしたい。
私の大事な凛怜があんな奴らに触られる事を想像するだけで、怒りという怒りが湧き出てくる。
けれど、凛怜が言うことは絶対であり、凛怜がやる事に従うことも例外を除いて絶対だ。
何か考えがあっての事で敢えて誘拐されるのだから、それに合わせて動くのも私の役目。
紅葉「エリス、少し落ち着きなさいな。」
エリス「これが落ち着いていられるわけないでしょ!?私の婚約者をよくも…!」
セツナ「…どういうことだい?」
エリス「あら、説明してないの?」
紅葉「ええ、言ってないわ。言う必要ないもの。
…はぁ、実はね、エリスと凛怜は婚約者なの。」
セツナ「なるほどね、あの噂は本当だったわけね…。」
驚かずに、納得といった表情に、流石世界一の情報屋だわと思う。
エリス「まだ、正式に発表はしていないけれど、何があっても、あんな男と婚約なんてしないわ!」
セツナ「と言っても、向こうは大分熱烈みたいだよ?」
エリス「向こうが騒いでるだけよ。どうせ、リードベルグ家の遺産や権力目当てなのは目に見えてるし、あいつの両親にも会ったけど、薄気味悪くて、吐き気がしたわ。」
呆れたように、それでいて嫌悪感丸出しでそう言うエリス。
紅葉「まぁそれはそれで、今後の事よ。」
エリス「と、言っても、いつ起こるか予測は出来ないし、そもそもこの学園のセキュリティなら侵入者なんてすぐ分かるわよ?」
リードベルグ学園のセキュリティは各ファミリーの大切な情報などが保管してある為、セキュリティは下手なファミリーより厳重である。
また、私たち、クローバファミリーの庇護下に入っている事もあり、盗み出す事をしようとする輩は相当なバカだと言える。
セツナ「…この学園内に内通者がいるとしたら、侵入も容易なんじゃない?」
紅葉「どういうことかしら?」
セツナ「この学園のセキュリティは確かに完璧だけど、それはあくまで外側からだよ。内側から攻められたら、弱いだろうね。」
エリス「だとしたら、内通者は誰なの?」
紅葉「内側からと言っても、高い権限を持っている人じゃないとダメなんじゃないかしら?」
セツナ「特に、凛怜先生に恨みを持ち、私たち特殊クラスを目の敵にしていて、高い権限を持っている人物。」
私達はセツナの説明を聞いて、1人の人物を思い浮かべた。
紅葉「それって…。」
エリス「教頭ね。」
そういうと、、セツナがおもむろにノートパソコンをカバンから取り出し、膝の上に乗せ、操作した後。
セツナ「ほぼ確定だろうね。あの教頭が所属しているワールファミリー、表向きは穏便派でやってるみたいだけど、裏では、かなりやばいものに手を出してるし、グリドール=アンセットと密会をしていたそうだよ。」
紅葉「すごいわね。いつの間に調べていたの?」
この情報収集能力は一葉以上だ。
時間のかかるであろう情報を短期間で集められるのはさすがだ。
エリスも驚いた様子だ。
セツナ「こんなの私の腕にかかれば、簡単さ。」
エリス「謎の情報屋の話は聞いていたけれど、実際に目の当たりにすると、その実力が分かるわね。まさか私の学園の生徒だったとは思わなかったわ。」
セツナ「そのまさかをついたのさ。ここは、私のような秘密が多い人にはうってつけだからね。」
紅葉「なるほどね…。」
セツナ「…ん?これは…。」
パソコンを見ていたセツナが何かを見つけたようだ。
紅葉「新しい情報が入ったの?」
私は内容が気になり、セツナに問いかける。
セツナ「いや、少し気になってね。ワールファミリーが保有している人身売買の顧客リストを最近観覧している形跡があった。」
紅葉「そんなに珍しいことかしら?」
セツナ「いやここまではそこまで珍しくはないんだけど、全て同性愛者や両性愛者のリストなんだ。なぜだと思う?」
エリス「たしかに違和感ね。そこまで偏りがあるのは珍s…まさか!?」
そこまで言ってエリスは気づいたのか、ハッとしている。セツナも気がついたようで顔を歪めながら。
セツナ「想像したくないことが頭に浮かんできちゃったんだけど…。これってつまり凛怜先生をうr。」
ドガァァァァァァァァン
セツナが言いかけたところで、理事長室に大きな音がなり、音の源である私の方を見てくる、エリスも同様だ。
そして2人の視線の先には、怒りに身を震わせる私と、見るも無惨になった机だった物だった。
紅葉「」ゴゴゴ
エリス「あらら、怒らせてはいけない人を怒らせて、あの一家、終わったわね。」
セツナ「ついでに、ワールファミリーもね…。」
エリスとセツナが何か言っているが、私の耳には届いていなかった。
覚悟しなさい?私の王を汚そうとしたこと後悔させてやるわ…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます