第9話 vs特殊クラス


紅葉side


あれから私と凛怜はエリスの元へ行き、教室で何が起こったのかの説明と会場を用意してもらうよう、交渉した。


エリス「やっぱりね…。訓練場があるからそこを使ってちょうだい。」

あっさりと、了承を貰ったけれど、やはり気に食わない。

凛怜は私に、手出し不要だと言わなかったら、あんな子達のちんけな誇りごと粉砕して、立てなくしていたのに、凛怜はそれを許さなかった。


ただ、私は講師の身として、興味があった。

凛怜がわざわざ戦う事を了承したのだから。

あの子たちには、何かあるのかもしれないと…。


そして、約束の時間になり、特殊クラスの生徒達が、ぞろぞろとやってきた。


ファル「来てやったぞ。」

シャロン「私が来たこと光栄に思う事ね。」

セーラ「めんどくさい…。」

レイン「…。」

凛怜「ふむ、やる気十分ってとこだな。」


この子達のどこがいいのかしら?私からしたら、蟻が象に挑むようなものに見えるのだけれど…。


凛怜「紅葉、立会人をやってくれ。」

ファル「おいおい、いいのかよ。俺達は2人でも一向にかまわないんだぜ?」

凛怜「あぁ、お前らごときなら俺だけで十分だ。」


小生意気な言葉を、凛怜は冷静に返す。


それを聞いて、癇に障ったのか。


シャロン「へぇ、わたくし達を前にして、そう言えるなんて、余程の命知らずの馬鹿ですわね。」

凛怜「御託はいい、勝利の条件を決めようか。」


ファル「そっちで決めていいぜ。どうせ俺達が勝つからよ。」

凛怜「お?気前がいいな、じゃあお前たちは戦闘不能になるまたは降参したら負け。俺は、ここから1歩でも動いたら負けだ。」


と、条件を提示する凛怜に。

シャロン「はぁ?舐めてますの?」

ファル「そうだ、あんたどういうつもりだ?」

セーラ「…。」

レイン「…。」

4人の機嫌が急降下したようで、明らかに怒っている。


凛怜「ん?至って真面目だが?なんなら、お前ら全員でかかってきてもいいぞ?」

そう言った瞬間、もう限界だと言わんばかりに、私の方を見る。その目は早く始めろと言っていた。


紅葉「はぁ、まとまったかしら?それでは、はじめ!」


ファル「後悔すんなよ!ほむら!」

私の合図とともに、ファルビルは手を凛怜の方へ向け、手から炎を出した。

凛怜「はぁ、温いな…。」

と、いいながら左手を腕ごと、右から左へスライドして、薙ぎ払うようにすると、炎が消えた。


ファル「な!?」

凛怜「ワンパターンだな、こんなもんか?」

そう挑発する凛怜にファルビルは。

ファル「うおおおおぉお、くらえぇぇぇぇ!」

炎を拳に纏って、凛怜に襲いかかるが、それを人差し指1本で止める。それには、ファルビルも呆然とし固まっている。凛怜はそのまま、ファルビルの腕を掴み、自分の方へ引き寄せ、妖艶な笑みを浮かべながら。


凛怜「いい拳だが、まだまだだな。」

と、ファルビルにひと言告げて、デコピン1つで吹き飛ばす。


シャロン「次はわたくしですわ!水弾ウォーターショット!」

そういうと、シャロンは周りに水の玉を作り、その弾が、弾丸のような形をしながら凛怜に向かっていく。

凛怜「ほぉ、水系の能力か。」

しかし、凛怜はそれを手刀のように、水の弾丸を切った。

シャロン「わたくしの水弾を素手で!?なんなんですのあなた?!」

凛怜「出来るんだから、しょうがないだろ。」

と、焦る彼女とは対照的に、至って冷静な凛怜は、そう言う。

シャロン「くっ、わたくしに負けは許されませんわ!水砲ウォーター・キャノン!」

先程よりも、とても大きい水の弾を出し凛怜へそれを放つ。

それは完全に凛怜に直撃するが、凛怜は何事も無かったかのように。

凛怜「ほぉ、やるじゃん。でもまだ弱いな。」


と、傷1つなく、立っていた。

シャロン「な!?わたくしの水砲に無傷ですの…。」

シャロンは、戦意が喪失したのか、呆然としている。

レイン「影縛り《かげしばり》」

凛怜「今度は影使いね…。」


凛怜の足元の影とレインの影が繋がっていて、恐らく動けなくする技と推測出来る。

レイン「めんどくさい…。早く終わらせる。影の騎士ナイト・シャドー、やっちゃって。」

そういうと、影から2体の全身が黒い騎士を出してから、指示を出し、動けないであろう、凛怜を襲う。


凛怜「なるほどな、動けなくしたところを仕留めるって事か、なかなか理にかなってるな。だが、形はいいが強度はイマイチだな。」

と、言いつつ、また手刀で2つの影は消失した。

レイン「な、なんで…?」

心底驚いている表情を浮かべている、レインの隙を見逃さず。


凛怜「遊園地の乗り物って知ってるか?浮いたり、落ちたりするらしいぞ。」


左手をレインへ向けて虚空を掴むと、縦横無尽に腕を動かしはじめた。

そうすると、腕の動きに応じて、レインの身体は左に行ったり、右に行ったりとまるでジェットコースターのように動いている。


レイン「くっ、解除!」

レインの言葉と同時に、レインの身体は止まった。

凛怜「ん?解除したか。」


どうやら、影縛りで繋がっていた影を凛怜が操ったようだ。


セーラ「…あなた強い…最初から本気。」

その言葉に凛怜は嬉しくなったのか。

凛怜「ふふ、あぁ来い。」


セーラ「…夢魔サキュバス

羊のような角に伸びた爪、悪魔のような翼、そして尻尾を生やしたセーラがいた。

凛怜「…ほぉ、変わったな。」

セーラ「私、あんた、みたいな人嫌いだわ。」

凛怜「そりゃ、心外だな。なんか口調変わったか?」

セーラ「さあ…ね!」


そう言って、一瞬で凛怜の前に行き、爪を使って、凛怜を攻撃する。

しかし凛怜は、最小限の動きを使って、避ける。

凛怜「そんな大振りじゃ当たらねえぞ。」

と、挑発も加え、セーラの表情は益々険しくなり。


セーラ「死ねぇぇぇぇ!」

と、がむしゃらに爪で攻撃しているが。

凛怜「おいおい、そんながむしゃらにやっても当たらねえよ。」

痺れを切らしたのか、セーラの腕を掴み、そう言い放つ。

セーラ「かかったわね!魅了チャーム

と、言った瞬間、セーラの目が怪しく光り、凛怜を見つめるが…。

凛怜「俺には効かねえから安心しな。」

セーラ「…え?」

そう凛怜が言った瞬間、セーラの表情が信じられないものを見たかのようなものになる。


セーラ「あなた、まさか…。」


と、セーラが言いかけたその時。


教頭「そこの特殊クラス!何を騒いでおる!」


と、聞きたくもない声が訓練場にこだました…。



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