第35話 新スキル習得

この街にはスキル屋は三件ある。三件回って適正のあるものは全て購入した。子爵領で買うよりも全体的に安価だった。それでも金貨30枚位かかった。

購入したスクロールがこれだ。

『闇属性魔法』『闇属性魔法(中級)』『闇属性魔法(上級)』『斥力』『念動力』『器用』『方向感覚』『地図作成』『強打(打撃武器)』『跳躍』


闇属性魔法:ブラックアウト・シールドが使用可能。

ブラックアウトは周囲が真っ暗になる。スキルレベルで範囲や効果時間が変化する。

シールドは全ての属性魔法で大体備わっている魔法だ。闇属性は真っ黒のシールドで視界が妨げられてしまう。発動準備に3秒位かかる。一枚しか出せない。障壁スキルの劣化版じゃないか。


闇属性魔法(中級):闇属性魔法スキルLv4以上で習得可能:サイレント・ウィークポイント使用可能。

サイレントは周囲の音が小さくなる魔法だ。忍び足スキルが意味を成さなくなったようにも思えるが、魔法は発動に時間がかかったり、効果時間に制限があったりと制約があるのだ。忍び足スキルの利便性は失われていない。

ウィークポイントは対象の耐久性を一時的に低下させる魔法だ。これでオーガが倒せるな。


闇属性魔法(上級):闇属性魔法スキルLv7以上で習得可能:マインドコントロール使用可能。

意志の弱い者の思考誘導ができる。

これはまだ習得できないが、かなり危ないスキルなんじゃないか・・・。これは買わなくて良かったかもしれない。値段も高かったし。


斥力:手元から1m以内の物を弾き飛ばすことができる。

スキル屋の店員さん曰く、このスキルが高レベルになれば人間を数メートル弾き飛ばすこともできるらしい。ちなみに適正のある人は結構少ないそうだ。


念動力:半径5m以内の物を動かすことができる。生き物は動かせない。

スキルレベルにより動かせる物の重さや距離が変わるようだ。うーん、使い道が思いつかないな。


器用:器用になる。

戦闘でも物作りでも役に立ちそうなスキルだ。


方向感覚:方向感覚が良くなる。

斥候の俺には必須スキルだね。先導する時、不安だったんだ。


地図作成:地図を作成するのが上手になる。

俺、絵心ないんだけど大丈夫かな。


強打(打撃武器専用):通常より強い威力の打撃攻撃ができる。

発動に2秒くらいの溜めがいるようだ。使い所が難しいな。


跳躍:跳躍力が上昇する。

こういうシンプルなスキルが使い勝手が良いよね。


現在のステータスがこんな感じ。


ステータス

名前:ルノ

性別:男

年齢:26歳

職業:商人

種族:人間

スキル:忍び足Lv4、気配希薄Lv4、精神耐性Lv3、契約魔法Lv2(契約霊獣『シュバルツ』)、筋力強化Lv3、クリーンLv3、暗視Lv3(Lv8:霊獣補正)、隠蔽Lv5(Lv10:霊獣補正)、気配察知Lv4、身体強化Lv4、俊足Lv2、直感Lv3、杖術Lv3、体術Lv2、金属魔法Lv3、魔道具作成Lv3、引力Lv3、解体Lv1、危険察知Lv3、回避Lv2、料理Lv1、闇属性魔法Lv1(Lv6:霊獣補正)(中級)、斥力Lv1、念動力Lv1、器用Lv1、方向感覚Lv1、地図作成Lv1、強打Lv1(打撃武器専用)、跳躍Lv1

固有スキル:潜影Lv3(Lv8:霊獣補正)、障壁Lv3

称号:次元の狭間を超えし者、霊獣の契約者


料理スキルが知らないうちに増えてるな。祭りの時かな。

遠距離攻撃は手に入らなかったが、もうどうでも良くなってきた。撲殺スタイルを極めようと思う。

いつもの奇襲スタイルに加えて、ウィークポイントと強打スキルがあれば大抵の魔物は討伐できるのではないだろうか。先手で仕留めれなくてもブラックアウトで視界を奪えば再度奇襲は可能だろう。相手も暗視スキルを持っていない限りは一方的に攻撃できそうな気がする。


危険を犯してでもダンジョン都市まで来た甲斐があったな。

目的は果たしたし、こんな場所はさっさとおさらばだ。


俺はその日のうちにダンジョン都市を後にした。それからは可能な限りスピーダー一号機を飛ばして帰り路を急いだ。街道脇が森だったり盗賊が隠れていそうな場所を通る時は、スピーダー一号機は影に閉まって空中を走って危険を回避した。

やっと子爵領に戻ってこれた時には安堵した。

俺は後ろを振り返ってシルベスター伯爵領の方を見る。

今回は惨めに逃げることしかできなかった。それが今の俺の実力だ。

次に向こうに行くときはダンジョン出張する時だ。それまでにもっと力をつけておかなければならない。盗賊相手でも気絶させて制圧できるくらいに。ダンジョンを攻略できるくらいに。


領都リビアへ戻った。たった10日間くらい離れていただけなのにとても懐かしく感じる。

俺はまっすぐローレンス商会へ向かった。

厨房設備の工事が始まっているようだ。ボール焼きとベビーカステラの販売は既に行っているようで、料理長を始め、若者が一生懸命焼いている。なかなか盛況のようだ。

シルビアさんがこちらに気付いて声をかけてきてくれた。

「あら、ルノさん。ダンジョン都市に向かわれたのでは?」

「ええ、目的はちゃんと果たしてきましたよ。次はまたスキルレベル上げですね。」

「10日くらいしか経っていませんが・・・まあルノさんですからね。ご無事で何よりです。あそこの地域は面倒事が多いですからね。」

「ええ、私にはまだ早かったようです。惨めに逃げ続けましたよ。でも収穫は大きかったと思っています。ダンジョン出張の時までには戦力になれるように頑張りますよ!」

「それは頼もしいですね。そういえば先日、新作のグローブが入荷したんですよ。そろそろルノさんが使われているのは傷んできていませんか?」

「買います!」

「お買い上げありがとうございます。金貨1枚になります。」


こうして俺の領都での日常が戻ってきた。

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