第18話 領都到着
翌日、村を出発する。旅は順調だ。
途中の休憩の時にチャールズさんに稽古をつけてもらえないかと頼んだ。素手での型を見てもらい、基礎はできているので組手をしましょうということになった。訓練場の教官殿とはまた違った動きで、受け流すようにこちらの攻撃を捌いている。武器を使っての模擬戦もすることになった。チャールズさんは素手だ。大丈夫かなと思っていると、スキルも全部使っていいですよと言われた。そう言われると今の自分がどこまで通用するのか試してみたくなった。遠慮なく全力で攻撃を叩き込んでいく。しかし、攻撃は全部受け流された。全く歯が立たない。せめて一矢報いようと必殺のコンボを試すことにした。正面から走って向かっていき、障壁の足場でチャールズさんの頭上を越える。チャールズさんは蹴りを警戒して受けの姿勢を取るが、頭上を越えてチャールズさんの視界から外れたところで、忍び足・気配希薄を発動。死角に潜り込むように素早く移動し、渾身の一撃を放つ。
チャールズさんは完全にこちらを見失ったはず。これは決まった!と思ったが、ロッドは片手で受け止められていた。
「発想は悪くないですよ。スキルの使うタイミング・発動速度も見事でした。でも最後の攻撃は駄目ですね。殺気を出したら気配を消した意味がありませんよ。」
と言われてしまった。他にもいくつか指摘を受けて、体幹をもっと鍛えた方がいいと言われた。
稽古を終えて馬車へ戻っていると、ソフィーちゃんが店員のお姉さんと組み手している。いや、過去形だな。組み手をしていた。が正しいな。既にソフィーちゃんはボロ雑巾のようになってお姉さんの足元に転がっている。お姉さんの後輩指導はスパルタのようだ。
そろそろ馬車の出発の時間だな。
領都への旅は続いている。平和な旅だ。初日のフォレストウルフの大群以降は魔物に遭遇していない。もちろん、盗賊なんてものもいない。警備隊がたまに見回っているらしいから平和なのだ。
何事もなく領都リビアに到着した。ここでは身分証の提示を求められた。作ってよかったギルド証。
領都というだけあってレイクスよりも大きい街だ。今回の出張は目的の場所だけ見て回って終わりそうだな。
フィデルさん行きつけの宿屋へ向かう。金額はレイクスで泊まっていた宿屋と変わらなかったので、ここをこの街の拠点にしよう。明日は商会の人たちと一緒に商業ギルドへ向かう予定だ。
今、俺は商業ギルドに居る。前にはギルドマスターのおっさんがいる。
フィデルさんとギルドマスターがなんか話してる。
「こちらはうちの従業員のチャールズ、シルビア、ソフィー、そしてルノさんです。」
ん?なんか俺もローレンス商会の従業員の一人みたいに紹介されたぞ。そもそも俺はなぜここに連れてこられたんだ。あ、店員のお姉さんの名前が今判明した。シルビアさんっていうのか。いい名前だな。ついてきてよかったわ。
その後は商会組はギルドの人と本社へ向かうということで、ここで別行動となった。結局、俺は何故商業ギルドに連れてこられたのかは分からなかった。
さて一人になったらやることは決まっている。最初に向かうのはスキル屋だ!一番楽しみにしていた場所だ。今度こそ魔法が手に入るといいな。
今更だがスキルは無数にあると言われている。魔法スキルだけでも火魔法・水魔法・風魔法・土魔法・氷魔法・雷魔法・光魔法・闇魔法・植物魔法・爆発魔法・金属魔法・ガラス魔法・神聖魔法・尻魔法・回復魔法・熱魔法・木魔法・色魔法・空間魔法・・・とにかく無数にあるのだ。なんかよく分からんスキルもたくさんあって、実用的なものは一部なのだ。
領都のスキル屋はレイクスより種類が多かった。氷魔法と雷魔法もある!あれが俺のものになるんだ!
初級スキルは40種類くらいあった。その中でレイクスにはなかったスクロールに順番に触れていく。
光ったスクロールは3つ。
『魔道具作成』『引力』『金属魔法』
氷と雷?そんなものはなかったんだよ・・・。
これでメジャーな属性魔法は全て適正がなかったことになるのか。ちなみに空間属性魔法は市場に出回ることはない。たまに王都のオークションに出品されることがあるらしいが、とんでもない高値で落札されるそうだ。落札するのは王国直営のマジックバッグギルドが大体いつも落札するらしい。つまり入手しようと思ったら自分でダンジョンに潜るか、所有者から買い取るしかない。
いや、あと一つだけこの店にもなかった属性魔法スクロールがあるな。闇属性のスクロールだ。何ができる魔法なのかよく分からないが、最後の希望ということにしておこう。
今回も適正のあったスクロールは全部購入する。金はシャンプー・リンスを売って調達してきた。
金属魔法は金属を成型させることができる。このスキルを持っていると鍛冶屋や金属細工屋での就職活動が有利になるらしい。はあ・・・もう溜め息しか出ないよ。
引力スキルはLv1だと5メートル位の範囲のものを手元に引き寄せることができる。ただし効果時間1秒。
なんだよ、1秒って。手元に来る前に途中で落ちちゃうじゃん。
魔道具作成スキルは文字通りのスキルだ。しかし、何もないところから魔道具が出てくるわけではない。魔道具とは魔結晶を動力としている。俺のロッドにも埋め込まれてるやつだな。その魔結晶に何らかの動力を付与することができるのが、魔道具作成スキルだ。
例えば光の魔道具のランタン。外側のランタン部分は細工屋さんなどの職人さんが作製する。それを魔道具職人が仕入れて、魔結晶に光る効果を付与して組み込むことで、光の魔道具は完成する。
ある意味、無限の可能性を感じるスキルだ。
宿への戻る前に、魔道具職人ギルドへ行き、魔結晶と魔導線を購入した。魔導線とは動力となる魔結晶とエネルギー供給源の魔石をつなぐ役割を果たす部品だ。資料室にも立ち寄って基本的なノウハウを学んできた。光の魔道具なんかの初歩的なもので練習しつつ何かおもしろいものが作れないか考えていこう。
しかし、今回も地味なスキルばかりだったなあ。
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