ヨーロッパと病原菌
大航海時代(15~17世紀)、スペインやポルトガルなどが南アメリカ大陸に進出し、原住民との戦争に勝って植民地を作りました。
彼らは、少ない兵力で南アメリカ大陸の国々を滅ぼすことができました。これは何故でしょう?
技術力や戦術や兵器の違いなど、理由はたくさんありますが、その中の一つに、「病原菌」というのがあります。
南アメリカ大陸の原住民は、ヨーロッパ人が持ち込んだ病気によって大量死したのです。
これには、「ユーラシア大陸および北アフリカ」と「南北アメリカ大陸」の、人々の住む環境の違いが関わっています。
ユーラシア、特にヨーロッパの人類は、歴史上のかなり早い段階から、都市など人口密度の高い場所での生活を経験していました。人口密度が高いと病気が伝染しやすいというのは、良く知られた事実ですよね。
更にヨーロッパの人類は、家畜や交易によって持ち込まれた新しい病気の蔓延という事態も経験してきました。古くからユーラシア大陸では畜産や交易が行われてきましたが、動物や商品と一緒に病気もまた伝わっていたのです。
これらの過酷な経験を長らくしてきたために、「病気に弱い人間」は、ヨーロッパから何と淘汰されてしまいました。「病気に強い人間」が、子孫を残すことができました。
一方アメリカ大陸では、古来よりそこまで人口密度の高い生活は営まれてこなかったなどの理由で、病気に弱い人も生き残ることができていました。
ユーラシア大陸との交易もこれまで無く、畜産もヨーロッパほどは発展していなかったので、新しい病気というのも未経験に等しいものでした。
それがいきなり大航海時代に入って、ヨーロッパの侵略者たちが入ってきました……未知の病原菌を持って! まさしく、南アメリカ人だけを狙い撃ちする凶悪な兵器です。このバイオテロは恐ろしいパンデミックを引き起こしました。南アメリカの原住民は、ほとんど絶滅に近い状態に追いやられてしまったのです。
大陸の環境や歴史的経緯の違いが、こんな形で現れることもあるのですね。
このことは、スペイン人やポルトガル人をも困らせました。奴隷として使う予定だった原住民たちが死に過ぎてしまったので、労働力がなくなったのです。
そこで彼らは、アフリカの人々を奴隷としてたくさん連れてくることで、労働力不足を補ったのでした……。
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