アメリカのイタリア文化

 アメリカには様々な文化が根付いていますが、中にはイタリア由来の文化も存在します。食文化だとピザが大人気ですよね。コーヒーの文化もイタリアの影響が強いです。『ゴッド・ファーザー』に象徴されるようなマフィアなども、イタリア系の団体です。

 これらには、イタリアからの移民が関係しています。


 イタリアからの移民が多くなったのは、時期的に少し遅れてのことでした。イギリス系やフランス系などはずっと以前からアメリカに移住して彼らのコミュニティを作っていましたが、それに比べるとイタリア系は後発組です。長らく他国の支配下にあったイタリア人は、初期のアメリカ移住に積極的ではありませんでしたから、彼らが動き出すのは独立後のことだったのです。


 まず、いくつかに分裂して別々に支配されていたイタリアは、戦いを経て独立および統一を達成しました(1871年)。

 すると、イタリアの北部と南部の経済格差が浮き彫りになりました。北イタリアでは工業が発展しましたが、南イタリアは農業が主な産業であり後進的だったのです。政治の中心も北イタリアだったので、南イタリアの人々は困窮していました。

 そこで多くの南イタリア人が、ちょうど国際社会でめきめきと頭角を現していたアメリカに、出稼ぎに行くことにしました。


 ところが後発組である彼らには、いい仕事が与えられませんでした。イギリス系の人々などが給与の高い仕事にありつく傍らで、イタリア系の人々は低賃金の重労働を任され、ごみごみした貧民街などに住んでいました。

 因みに、同じ時期「ジャガイモ飢饉」の影響で大量にアメリカに移住してきたアイルランド系の人々も、似たような扱いでした。

 白人同士でも差別は存在したのですね。


 生活に困ったイタリア人の中には、料理店などの自営業を始める者もいました。このことはイタリア文化がアメリカに根付く一助となったと言えそうです。

 裏社会に踏み入ることで生き延びようとしたイタリア人もいました。これによりイタリア系マフィアがアメリカで勢力を拡大したのでした。彼らは、禁酒法の時代(1920〜33年)に違法に酒類を提供するなどして、がっつり稼いでいたそうです。


 ヨーロッパで起きたイタリア統一が、アメリカの文化に深く関わっているというのは、興味深い現象ですね。

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