第16話 偕楽園が造園された年

 旅立ちの朝。

 荷物を持って京都駅前に停車しているリムジンバスに乗り込んだサクヤは、関西国際空港へむかった。今回予約した便は、乗り継ぎなしでドイツのフランクフルト国際空港へ飛ぶ。

 いつもどおり手続きを済ませ、アナウンスにしたがって搭乗。フライトは十一時間四十五分。どんな機内食が出るのかを楽しみにしながら、サクヤはバウムクーヘンの歴史をさらに調べる。検索項目は、これから向かうドイツのバウムクーヘンについて。

 現在ドイツで有名なバウムクーヘンの町は三つ。


 アラック酒を使う、ザルツヴェーデル。

 挽いたアーモンドやマジパン、アルコールを入れる、コットブス。

 挽いたアーモンドやマジパンのが一般的でシンプルな、ドレスデン。


 三つの中で、バウムクーヘンの発祥の地はザルツベーヴェール市とされている。

 一八世紀、フランス移民の家系エルンスト・アウグスト・ガルベスがはじめて造ったという。孫娘ルイーゼ・レンツが祖父のレシピを当時市庁舎内レストラン『シュワルツ・アドラー』で再現。一八四一年に同地を訪ねたプロイセン王が絶賛して有名となる。その後、菓子職人のアンドレア・フリッツ・シャルニコフがルイーゼに教えを乞い、バウムクーヘンをヨーロッパ中に広めた。

 その店の創業は一八四二年。

 今日も残る『カフェ・クルーゼ』だ。


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