サクヤのバウムクーヘン

snowdrop

第1話 十の位の七掛け

 年齢の十の位を七掛けするのが、本当の年齢という。

 嘘か真かわからないが、信じる人は多い。

 サクヤもその一人。

 流れるほど長い黒髪の艶は良く、つぶらな瞳を引き立つ長いまつげ、笑うとできるえくぼは愛らしい。小柄で細身の体を包むは、レース刺繍の編み込まれたロリィタ衣装。黙って改札をくぐれば、小学生で押しとおせるかもしれない。

 それでも彼女は、今日も律儀に大人料金を払って乗車券を購入するのだった。


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