虐げられていた英雄の娘は、国と家族を見捨てて幸せになる:多
仲仁へび(旧:離久)
第1話 大国ゼノム
あるところに、一つの大きな国があった。
その国の名前はゼノム。
周辺の国々とは比べ物にならないくらい栄えていた。
その繁栄は様々な要因があったが、特に例を挙げるとすると英雄の存在が大きかっただろう。
その国には、他の国にはいない、圧倒的な力をもった人間がいた。
英雄エイルワーズという男性がいた。
大国ゼノムが周辺の国に戦争をふっかけるような事があったとしても、敗北はない。必ず英雄が勝利をもたらすため、国は栄える一方だった。
そんな英雄エイルワーズには、娘がいた。
その娘の名前はティーチェ。
笑顔が愛らしい女の子だった。
その娘は、大きな戦いに赴く前にできた子供だ。
英雄エイルワーズと結ばれた一人の女の間にできた子供だった。
しかし母親となったその女は、赤子を産み落としてそうそうに、流行り病で命を落としてしまう。
そのため、娘の家族は英雄である父だけとなった。
英雄はたくさんの愛情をかけて娘を育てた。
目に入れてもいたくないと思うほど、手塩にかけて育て、亡き妻の形見だと思い、可愛がった。
そのため、離れなければならない時がきた際、英雄は悲しんだ。
物心つくかそうでないかの娘も、詳しい事情を知らないながらも、悲しんでいるようなそぶりをみせた。
大国ゼノムは、また戦を起こす。
だから英雄エイルワーズは、娘を親戚の家に託して、戦場へ赴かなければならなかった。
「愛する娘のために、国を守る! なんとしても勝利を手にしなければ!」
かつて国のために戦っていた英雄は、今は娘の為に戦っていた。
実の娘には、豊かな国で娘に成長してもらいたいと思っためだった。
しかし、英雄はそれきり帰ってこなくなってしまった。
それをきっかけにして、今まで勝利が続いていた大国ぜノムは、だんだんと厳しい状況に陥ってしまう。
次第に国は小さく、貧しくなっていった。
その影響を受けてかティーチェは、親戚の家で虐げられるようになっていった。
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