夕日

@crescentscientist

暗い夕日

蜩が鳴く頃、ハンカチを手に持ち、僕は歩いていた。

赤に染まったハンカチ、日が経つにつれて黒くなる。

やがて歩いていると、いつも渡る川を跨いだ大きな橋。



そこから見えた夕日は素晴らしかった。

その夕日は、次第に僕の目から上へ行った。



僕は目を開けても何も見れず、夕日は暗かった。

ハンカチは僕の手から離れ、ただ橋下の川を流れる。

死ぬことなく、魂と共に流れ続ける。流れて行ったハンカチも、魂と同じように流れる。僕の身体はただただ、流れず浮いている。意識すら次第に無くなった。


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