Episode 101「諦め」

――【水晶の宝箱☆3】――

・成功率100%

・大成功率100%

・???100%

▶開錠しますか? ▷YES

         ▷NO

――――――――



「つ、ツユちゃん、話には聞いてたけど、流石にこれは予想できなかったや」

「す、すみません……」

「いやいや、なんで謝るの? これ凄いよ。あれでしょ? SSRとかURとかがめっちきゃ出てくるんでしょ?」

「まぁ、はい」

「早速開けてみてよ」

「はい」


 し、心配だ。

 今まで宝箱の開錠を見てきたプレイヤーは、ことごとく、叫ぶか放心状態になるかの二択しかなかったから……。

 いや、それだけでジニさんの器を決めつけるのはまだ早いよね。

 別に、他のプレイヤーの器が小さいってわけでもないけど。


「それじゃあ、開けます」

「ガンバだよ!」


 でも、あれを使うのは忘れない。


《スキル『ラッキーダイス』使用――『4』》


 もらえるものは多い方が良いしね。

 さてと、どんなのがでるかな。



――【成功報酬(???)】――

………

……

――【成功報酬(武器)】――

・『18ゴールド』

・『(UR)ブルークリスタルソード』(×4)

・『(UR)ブルークリスタルショートソード』(×4)

――――――――



「おお! 話には聞いてたけど、まさか二つも同時に出てくるとは思ってなかったよ」

「ジニさんって短剣使ってましたよね? このブルークリスタルショートソード、あげます」

「え、良いの?」

「はい。四本あるので、残り二本は使いません」

「そうなんだ、じゃあ貰おっかな――って、四本!?」

「ど、どうしました?」

「いや、四本って……あ、まさかラッキーダイスってやつ?」

「はい」

「へー、凄いなぁ」

「じゃ、残りも開けますね」



――【成功報酬(???)】――

………

……

――【成功報酬(家具)】――

・『6ゴールド』

・『(UR)水晶玉』(×4)

――――――――



「水晶玉?」

「一日に一回だけ使えて、使ったらランダムで色々な効果を得られるらしいですよ」

「なるほど、それ普通に強くない?」

「そうなんですか? 私にはよくわからないですけど」



――【成功報酬(???)】――

………

……

――【成功報酬(スキル)】――

・『22ゴールド・50シルバー』

・『(UR)スキル巻物〈無限水泳〉』(×4)

・『(UR)スキル巻物〈水渡り〉』(×4)

・『(SSR)スキル巻物〈ウォーターブレス〉』(×4)

――――――――



「また凄そうなものを……。これ、どんな能力なの?」

「えっと。無限水泳は、泳いでる間のSP消費が無くなる。水渡りは、水の上をある程度歩ける。ウォーターブレスは、水龍がずっと使っていたあのブレス攻撃です」

「マジか……。ツユちゃん、水中で負ける要素が無くなったじゃん」



――【成功報酬(???)】――

………

……

――【成功報酬(LR)】――

・『54ゴールド』

・『(LR)水龍の召喚石』(×4)

・『(LR)水龍の卵』(×4)

――――――――



「なっ!?」

「……」

「え、な、え……?」

「……」

「れ、レジェンドじゃん!」

「レジェンドですね……」

「しかも二種類同時に!」

「ですね……」

「あれ? ラッキーダイスを使ったってことは……」

「四倍ですね……」

「よ、四倍! 凄いよツユちゃん! これヤバイよ! 召喚石だよ、卵だよ!」

「そうですね。……って、ちょっと、肩を揺らさないでください!」




◇ ◇ ◇




◇『不死竜』ギルドハウス◇




 水龍を倒し、宝箱を開け、ギルドハウスに帰って来た私たち。

 今は一階のテーブルにてダラダラとしていた。


「ねーツユちゃん」

「なんですか」

「暇だね」

「ですね」 

「あのさ」

「なんですか」

「やっぱりもう一回、釣りしに行かない?」

「嫌です」

「でもほら――」

「嫌です」


 ジニさんがもう一度釣りに行こうと誘ってくるけど、私は嫌ですの一点張り。

 だって、もうあんなのは嫌だし。

 私は釣りをしたかったのであって、断じて水龍を倒したかったわけじゃない。

 あんな危険な目に会うくらいなら、こうやってダラダラするか、カジノに行ってスロットを回している方が良い。


「せっかく釣り道具を買ったんだからさ、もう少しだけ頑張ってみたら?」


 なんだろう。

 そんな言い方をされると、何かに失敗して拗ねて機嫌が悪い私を、お母さんがなだめようとしているような。そんな感じがする。

 いや、ジニさんが私のお母さんじゃないという点を除けば、大体合ってるけど。


「私はもっと、ゆったりとしたのを想像してたんですよ。それがなんですか? なんで龍が出てくるんですか?」

「それはきっと、ツユちゃんのLUKが高いからだと……」

「…………」


 あ、そうですか。私のせいですか。

 いや! でも! 今の私のステータスは、私が振ったわけじゃないし!

 アメシストドラゴンのステータスであって、別に私が望んでこのステータスを手に入れたわけでは…………いや、望んで手に入れてました。わざわざ釣りをする前に進化をしに行ってました。ごめんなさい。


「でもほら、さっきのはきっと、そういう設定があったからだよ」

「設定ですか?」

「そうだよ。ほら、あの海の設定」

「確か、嵐を沈めたっていう」

「そうそう。だから、そういう設定が無い場所に行けば大丈夫だよ! 多分」

「多分って。確証無いじゃないですか」

「まあまあ。そう拗ねないで」

「す、拗ねてません! 第一、海ってそんなに多くないじゃないですか」

「別に海じゃなくても、湖や川とかでも釣れるよ」

「あ、そっか」

「それに、ボク、良い場所知ってるんだよね」

「良い場所、ですか?」


「どう? 行ってみない?」


 正直な気持ち、釣りはしてみたいんだよね。

 釣り道具も買ったし、使わないと勿体無い。

 それに、水龍が出るみたいな設定が無いなら、問題は無いかもしれない。


「はあ、わかりました。行きます」

「ほんと!? よし、じゃあ早速準備をしよう」

「準備って、このままの装備じゃダメなんですか?」

「その場所っていうのが、五層にあるからね」

「え、五層ですか?」

「そうなんだよ。ま、安心して。ツユちゃんならサクッと行けるだろうから」


 それだと、結局戦闘をしないといけないんですけど。

 あー、なんかもう、どうでも良くなってきた。

 戦いはしたくないし、釣りはしたいけど、まあ釣りができるならなんでもいっか。みたいな。


「わかりました。でも、明日じゃダメですか? 今日はもう疲れたので」

「あ、そう? わかった、じゃあ明日ね」

「はい。じゃあ私はログアウトします」

「うん、また明日!」






――【ツユ】――

・個体名「聖竜人・アメシストドラゴン」

・LV「35」☆

▷MONEY「29,506,380」

▷CASINO「0」

――【STATUS】――

・HP「6800/6800」

・MP「6800/6800」

・SP「6800/6800」

・STR「4250」(660)

・VIT「4250」(1160)

・INT「4250」(160)

・DEX「4250」(350)

・AGI「4250」(470)

・LUK「4250」(50)

――【WEAPON】――

▷両手「白龍鱗のショットガン」

▷右手「道化師のナイフ」(納刀中)

▷左手「道化師のナイフ」(納刀中)

――【ARMOR】――

▷頭「毒龍のヘルム」

▶手

 ▷右「毒龍のガントレット」

 ▷左「毒龍のガントレット」

▷胸「毒龍のアーマー」

▷腰「毒龍のスカート」

▷足「毒龍のブーツ」 

▷その他

 「毒龍のマント」

 「毒龍の心臓」

――――――――

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