Episode 71「ラッキーセブン」

 40ゴールドでスキルを買った私は、資金補充のためにカジノに来ていた。村人を連れて。

 暇してるからどこにでも付いてってやるよと言われたから、カジノでも問題ないよね。 

 別に他意は無いけど。


「そう言えばツユ、カジノマスターなんだっけな」

「確か、そうでしたね」


 そんな称号もあったなぁ。

 ということは、カジノを自分の好きなところに設置できるんだっけ?

 んー、ま、あんまり興味は無いけど……。


「と言うか、村人もカジノの常連だったんですね……」

「おう! これ、良いだろ?」


 そう言って見せびらかすのは、金色に光るカード。

 白、銅、銀、金、赤、黒、とある内の金。

 ああ、この人もギャンブラーでおありで。

 くれぐれも、やりすぎには注意してほしいなぁ。

 やりすぎたせいで戦争が勃発してしまった例を私は知っているから……。

 と言うか、当事者だったから……。


「だが意外だな。ツユはとっくに赤か黒になってるかと思ってたぞ」

「まぁ、そもそもポイントを使ったことすら無いですし……」


 今日は換金のために来たんだけど、ついでにランクを上げても良いかもね。

 なんでも、ランクを上げると、遊べるゲームが増えたり、ポイントで買えるアイテムが増えたり、VIPルームなんてものもあるとかなんとか。

 正直、買えるアイテムの種類の増加くらしか興味は無いけどさ。

 だからって、4千万ポイントも持ってる必要はないよね。

 この際だから、使えることには使っていこう。そうしよう。


「じゃあ私、あっちのスロットマシンをしてきますから」

「お、そうか? なれ俺もそっちに行くかな」


 あう。できれば他の場所でやっててほしかったけど……カジノに誘ったのは私だしなぁ……。

 でも、村人は私がカジノマスターだってことを知ってたみたいだし?

 777を連発しても、もう既に知られてるよね。

 驚かれないよね。

 大丈夫だよね。


 まあ、今更なんだけどさぁ……。







 デレレレレレレレレレ――テレン!



――【777】――

・『50万ポイント』

――――――――



「「「「「おぉ~」」」」」

「……………………」




 デレレレレレレレレレ――テレン!



――【777】――

・『50万ポイント』

――――――――



「「「「「おぉ~!」」」」」

「……………………」




 デレレレレレレレレレ――テレン!



――【777】――

・『50万ポイント』

――――――――



「「「「「おぉ~!!」」」」」

「……………………」



 さっきの不安が嘘みたいに、心が安らぐね。

 マシンが動いて、陽気な音と共にラッキーセブンを告げる。

 そしたら、周りの観客さんたちが、合わせて感心する。

 約一名、ぽかんとしてらっしゃいますが。


 常連さんたちのほとんどは私のことを知ってるから、もう声を上げて驚く人はいない。

 だけど、慣れてない人もたまにいるんだよ。

 そしてそいう人たちの特徴は、


・おじさんだったら、感心しながら常連さんになる

・おじさんじゃなかったら、運営コールをしてから帰る


 大体、この二択。

 おじさんか、非おじさんかはともかく、全てのプレイヤーは、常連さんになるか帰るかなんだよね。

 だから、今のカジノには、うるさいっていうイメージよりも、和やかっていうイメージが良く合う。

 わいわいがやがやと、笑い合い、いじり合いながら、マシンの音がやけにうるさく聞こえて。

 そしてふと、思ってしまう。


 あれ? ここの雰囲気ってカジノのものですか? ってね。


 そんな冗談はともかく、隣で呆けている人をなんとかした方が良いかも。


「村人さーん、大丈夫ですかぁー?」

「んあッ!? お、俺は一体、何を……?」


 どうやらこの一瞬で記憶障害が……


「あ、ツユじゃねぇか」


 見事に記憶が欠けちゃってるね。

 さっきまでの呆けぶりが嘘とでも言うように、なんとも言えない顔をしてるよ。

 

「大丈夫ですか?」

「あ、あぁ……? す、すまん、今日は体調が優れねぇみてぇだからよ、もうログアウトさせてもらぞ」

「ぜひそうしてください……」


 家か宿屋に帰ってから宣言通りログアウトするのか、村人は姿を消した。

 なんか、ごめんなさい……。

 でも、これで気兼ねなくスロットマシンで遊べる。

 

 気を取り直して、コインを入れスタートする。




 デレレレレレレレレレ――テレン!



――【777】――

・『50万ポイント』

――――――――



「「「「「おぉ~!」」」」」




 デレレレレレレレレレ――テレン!



――【777】――

・『50万ポイント』

――――――――



「「「「「おぉ~!」」」」」




 デレレレレレレレレレ――テレン!



――【777】――

・『50万ポイント』

――――――――



「「「「「おぉ~!」」」」」



 デレレレレレレレレレ――テレン!




――【777】――

・『50万ポイント』

――――――――



「「「「「おぉ~!」」」」」




 今日中に他にやりたいことも無かったし、私は数百回にわたってマシンを動かし続けた。

 その後ステータスを見た私は、暇って怖いね、と一言漏らすのだった。






――【ツユ】――

・個体名「竜人・ポイズンドラゴン」

・LV「28」☆

▷MONEY「19,943,380」

▷CASINO「150,000,000」

――【STATUS】――

・HP「3900/3900」

・MP「3900/3900」

・SP「3900/3900」

・STR「2340」(660)

・VIT「2340」(1160)

・INT「2340」(160)

・DEX「2340」(350)

・AGI「2340」(470)

・LUK「2340」(50)

――【WEAPON】――

▷右手「道化師のナイフ」(納刀中)

▷左手「道化師のナイフ」(納刀中)

――【ARMOR】――

▷頭「毒龍のヘルム」

▶手

 ▷右「毒龍のガントレット」

 ▷左「毒龍のガントレット」

▷胸「毒龍のアーマー」

▷腰「毒龍のスカート」

▷足「毒龍のブーツ」 

▷その他

 「毒龍のマント」

 「毒龍の心臓」

――――――――

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