Episode 45「毒鱗龍」
フィールドは、枯れた木々と毒沼に囲まれていて、今までのボス部屋やフィールドと比べるとやや狭い。
その毒沼から顔を出して私たちの様子を
赤く鋭い眼、体色や纏う鱗は紫色、体は蛇のようにうならせて毒沼を泡立てる。
間違いなく、今まで戦ったどのボスよりも強い。
フィールド、相手の体格、種族、どれも今までのとは圧倒的に戦いづらい環境になっているのに加えて、私が唯一ダメージを受ける毒を使う。
――だけど、やるしかない!
「ツユちゃん! 鱗が無いところを狙うのよ!」
「わかりました!」
鱗が無いところ……顎、お腹、尻尾の前面と、顔の辺り。そこを集中的に狙おう。
私は短剣を腰の鞘に納めると、インベントリから『白龍鱗のショットガン』を取り出して構える。
銃は使ったことがないし、そもそもなんでこの世界にこんなものがあるのかもわからないけど、とりあえずガッチリと抱えるようにして持つ。
そして引き金を引く。
確か弾は勝手に入ってるんだよね。あ、リロードとかってしなくて良いの? そも銃ってどうやって撃つの? と考えているうちに、銃声が響き、目にも留まらない速さでいくつかの銃弾が一斉に放たれる。
手元がブレたせいで、龍の顔を狙ったはずが背中の鱗に当たってしまい――――鱗が砕けた。
え? 鱗ってそんな簡単に砕けるものなの?
「ツユちゃん、ナイスよ! 防御貫通の効果ね! ――『ストライクウォーターアロー』!」
なるほど。
防御貫通は、装備やスキルの防御力を無視したりすり抜けたりする効果。なんだけど、龍の鱗も装備扱いされてるってことかな?
驚いたけど、それなら好都合!
ショットガンを構えて、一応できるだけ鱗が無いところを狙いつつ、少しずつ前に進んで龍に近づく。
そうすること約3分。
意外にもショットガンの攻撃力が高いおかげで相手のHPを四分の一まで削った頃、龍は攻撃パターンを変えてきた。
龍は突如、沼に顔を浸け、毒の液体を飲み始めた。
「ツユちゃん! 避けて!」
フレアさんの忠告に反応できなかった私は、龍の、毒のブレスを直でくらってしまった。
「HPは……大丈夫、減りは遅いです!」
「良かった……! 受け過ぎるとダメージ量も増えていくから、同じ攻撃に当たらないようにね!」
『猛毒耐性』のおかげで毒の威力は弱まっている。買っておいて良かったぁ。
水圧で押し出されたけど、『超加速』を使って一気に近づき、至近距離で『エクスプロージョン』を発動させる。
――『毒鱗龍』――
HP:14860/24000
MP:24000/24000
SP:18700/24000
『混乱』
――――――――
――『毒鱗龍』――
・弱点:光属性
・毒無効
・ブレス
――――――――
『エクスプロージョン』は一回で1千500以上のダメージを与えられる。
これを連発していれば一瞬で倒すこともできなくはない。
ただ、その為には『エクスプロージョン』の爆破に巻き込まれない為に、フレアさんとクロが私の近くにいる必要がある。
それが、この毒鱗龍相手だとやりづらい。
大ダメージを与えると、龍は沼で暴れ出す。すると毒液が飛んできて浴びてしまう可能性があるから、毎回逃げないといけない。
これが一人だけだと、毒なんて気にせず連発して倒した後、すぐに回復すればなんとかなる。
だけど、フレアさんとクロに掛かってしまうこの状況では、逃げづらくもなるから、頻繁に固まって行動するのは得策じゃない。
それに、ただでさえ狭いフィールドは、沼が殆どを占めてるせいで逃げ場が少なく、遠くに行ってもらっても爆発に巻き込んでしまう。
っと、考えごとしてる場合じゃなかった。
私は龍のブレスを避け、続けて体当たりもギリギリで躱す。
「『アローレイン』!」
「クロ、『ダークブレス!』」
「グウガアァァァァアア!」
こっちも攻撃の手を緩めずに、確実に相手のHPを減らしていく。
だけど、私のHPも三分の二を切ってしまった。
そこで、ショットガンを自分に向けて撃つ。これで回復ができる。
その瞬間、油断してしまった。
「ツユちゃん! 前!」
回復をした時に出る、緑色のオーラのようなエフェクトで一瞬の視界が塞がれ、龍の尾が勢い良く迫って来るのに気がつけなかった。
弾かれ、私は物凄い速さで木に衝突する。
ダメージは無い。だけど、起き上がろうとしたその時は、龍の顔が目の前にあった。
龍は口を大きく開き、その奥には紫色の液体が球になっている。
咄嗟にショットガンを、銃口を自分に向けて構える。
龍の口から毒のブレスが放たれ、『猛毒耐性』を習得していても、HPは素早く減っていく。
早く引き金を…………だめだ、ブレスのせいで手元がブレて引けない!
そうしている間にも、HPは半分を切り、それを示すイエローゾーンへ。
一旦銃を構えるのをやめ、叫ぶ。
「クロ! フレアさんを乗せて、上に飛んで!」
「グオオッ!」
「え、何!? ちょっと! 何する気なの!?」
フレアさんを無視し、もう一度叫ぶ。
「『エクスプロージョン』!」
大爆発が起こり、爆風は毒液を押し切って、至近距離の龍に直撃する。
相手が怯んだ隙に、すぐさま銃を自分に撃つ。
もう一度。
何度も撃つ。
「あ、危なかったあぁ……!」
フレアさんはまだ上空にいる。
このうちに、起き上がろうとする龍の顎下に移動して、『エクスプロージョン』を連続で発動する。
大爆発が何度も連続で起こって、それに巻き込まれる龍を見ていると、なんだか可哀想とさえ思えてくるけど、起こしているのは私なんだよね……。
――十回以上叫んだかな。
龍は、粒子へとなり、消えていった。
《プレイヤー『ツユ』がレベル15からレベル23になりました》
《従魔『クロ』がレベル11から18になりました》
《ステータスポイント40を獲得しました》
《『6ゴールド』を獲得しました》
《『毒鱗龍の鱗』を獲得しました》
《宝箱『毒結晶の宝箱☆3』が出現しました》
《宝箱『毒結晶の宝箱☆3』が出現しました》
《宝箱『毒結晶の宝箱☆3』が出現しました》
――【ツユ】――
・LV「23」☆
▷MONEY「12,346,380」
▷CASINO「40,000,000」
――【STATUS】――
・POINT「40」
・HP「730/730」
・MP「730/730」
・SP「730/730」(100)
(全ステータス20%上昇)
▷STR「13158」(200)
▷VIT「13158」(740)
▷INT「13158」(20)
▷DEX「13158」(20)
▷AGI「15936」(520)
▷LUK「510957」(50)
――――――――
――【クロ】――
・個体名「ブラックアーマードラゴン」
・LV「18」☆
――【STATUS】――
・HP「3400/3400」
・MP「3400/3400」
・SP「3400/3400」
・STR「97590」
・VIT「97590」
・INT「97590」
・DEX「97590」
・AGI「97590」
・LUK「97590」
――――――――
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