いちばん、かわいい。

もちもちおうまさん

由奈編 第1話

____恋愛、容姿、男、愛情。


全部私が嫌いな物。


愛してる、とか、意味わかんない。

恋愛してたら、金も時間も飛んでいくこと、

分かんないの?

これだから恋だの愛だの言ってる人間って

気持ち悪い。


お金があれば大丈夫。

ご飯も食べれる、服も買える。

私はお金を得る為に、

容姿を使って男に縋って、

こんな自分、気持ち悪い。











『由奈に会えて、嬉しかったよ』

『今日はありがとう、また、宜しく。』


自宅につくなりLINEが来た。


「…貴之さんか。」


この人は私にお金を使ってくれる。

今つけてる新作のリップだって、この人が買ってくれた。高校生のバイト代では、到底買えない値段だ。

そのかわり、体は差し出すけど。

今更自分の体に思い入れなんてないし、

むしろ需要と供給のバランスとれてるし。

私は淡々と返信を打つ。


『いえいえ!私も貴之さんに会えてうれしかったです♡またよろしくお願いします!』


こんな気色悪い文を無表情で打ってるなんて

自分でも笑えてくる。


「………ああ、コイツか。」


別の人からもLINEが来てた。

正直めんどくさいけど、健気に返信する女の方が好かれるでしょ?


「中田慎二……、コイツ、金持ってるくせにケチだし、もう切っていいかな。」


別に罪悪感なんてない。

向こうもブロックされたのに気づいたら

乗り換えるだけ、私と相手の関係なんてほとんどそんなもの。


夢の為に上京したのに、

あの頃の私は居なくなった。

親からの仕送りのメッセージも、友達の誘いを断るのも、なにも感じない。

友達は減ったけど、お金があればいいの。

安心、するから。


スマホが震えた。

(また新しい相手かな…)

援交とかパパ活って、Twitterよりマッチングアプリの方が楽にできる。

相手の年収とか、既婚の有無とかで、見極められるから。


「………え。」


通知の内容は、意外なものだった。

もちろんいつも通りのマッチングアプリだけれど。


「中村祐介………、21歳…?」


へえ、20代もいるんだ。

いつも40代とか50代ばっかなのに…。


(21歳とか、金も持ってないだろうしな。)


いつもどうり拒否しようとした時だった

さらに意外な文字が目に入った。


「コイツからのDM…。食事のみ前払い!?」


これなら昼からあっても2時間くらいで切り上げられそうだ。

空き時間に済ませられるし、体力も必要ない。まさに私にだけ好都合…。


気づいたら私は好意的な返信を打っていた。


『了解です!土曜の昼12時から、会えますか?』

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