第35話 テスト後、結果発表
テストが終わった1週間後。
テスト結果が廊下に張り出された日の放課後、俺と響は図書室にやってきていた。
「取っちゃったね。一位」
「みたいだな」
「やっぱり柏君は凄いな〜」
「九条さんがいなかったからだろ」
「勝負してたら本当に私が負けてたかもね」
「どうだろうな?」
結果としては、俺が今回のテストで学年一位を取れたのだが、その功績のほとんどは修也のおかげといってもいいだろう。
修也の作ってくれた予想問題はほとんど的中していた。俺はその予想問題を繰り返し行ってテストに臨んだに過ぎない。だから、俺が一位を取れたのは修也のおかげだ。
そんな修也は俺に次いで二位だった。その差は一点差だった。
「九条さんが風邪ひいてなかったら俺が一位になることはなかったと思うけどね」
「それはもちろん私が一位を取ってただろうね!」
「さすが中学校の時に毎回一位を取ってた人は自信が違うわ」
「次は絶対に風邪ひかないようにするから、またやろ?」
「まぁ、考えとくよ」
「絶対だからね!」
俺たちが少し大きめの声で話をしていたら「お二人さん。もう少し声のボリュームを落としてくださいな」と恵が注意するためにやってきた。
「ごめん。気を付ける」
「はい。気を付けてくださいね。それと宗一君。一位おめでとうございます」
「ありがと。恵も三位だったな」
「そうですね。でも、いつものことです」
そう言った恵はあまり表情は変わっていないが、悔しそうに見えた。
一位が響、二位が修也、三位が恵、というのは中学生の時から変わらない順位だった。
俺からしたら、毎回その順位をキープできてるだけでも凄いと思うのだが、やはり悔しいものは悔しいらしい。
「それにしても本当に凄いですね。宗一君、たくさん頑張ってましたもんね」
「ほんとにたまたまだよ。修也の予想問題が凄かっただけ」
「それでもです。頑張っていたことには違いないじゃないですか」
「まぁな……」
響とテスト勝負をしていて負けたら何されるか分かんなかったから、頑張っていたなんて言えない。
「そういえば、話は変わりますけど来週は林間学校がありますね」
「そういえば、そんな行事あったな」
「忘れてたんですか?」
「テストで頭いっぱいだったからな」
恵に言われて林間学校があることを思い出した。
林間学校は一年生の中でメインとなる行事だった。
山奥にある温泉付きの旅館に一泊二日で宿泊するというのが例年の決まりらしい。
「楽しみですね」と言った恵に「そうだな」と頷くと隣にいた響きが不満そうな声で言った。
「ちょっと、私がいること忘れてないですかね?お二人さん?」
「忘れてないって、九条さんが話に入ってこなかっただけだろ」
「入れるわけないでしょ。二人とも楽しそうに話してるんだもん!」
「そんな遠慮することないのに」
「そうですよ。九条さん。遠慮せずに浮かべててもいいんですよ?」
なぜか挑発的な笑みを浮かべて響を見ている恵。
こんな顔もできたんだな、と思いながら俺は恵のことを見ていた。
そんな挑発的な笑みを向けられた響は何故か「ぐぬぬ……」と悔しそうにしていた。
「じゃあ、次から遠慮しないからね。後悔しても知らないよ?恵ちゃん」
「望むところです」
俺の目の前でバチバチと火花を飛ばしあっている二人。
そんな火花の飛ばし合いはお昼休憩の終わりを知らせるチャイムが鳴るまで続いてた。
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