第16話 響とデートpart1

「今日は柏君とデートだー!」

  

 空に向かって高らかに叫んだ響。

 

「や、やめろ!?恥ずかしいだろ!?」

「だって楽しみなんだもん~!」

「だからって、叫ぶな!?」

「柏君も叫んでるよ?」

 

 そう言って、響はおかしそうに笑った。

 ダメだ……。 

 響に合わせてたら調子が狂う。

 今まで、俺の周りにこんな女性はいなかった。 

 

「で、今日はどこに行くの?」

「今日は映画に行こうと思ってるよ!」

「映画?もしかして、あのラブコメのやつか?」

「正解!」

「マジか!?それは楽しみだ!」

「お!一気にテンションが上がったね!」

「そりゃな。俺も見たいと思ってたし!」

「じゃあ、さっそく行こう!」


 響はさりげなく俺の手を握った。

 この距離感も調子を狂わせる一つの要因でもあった。

 そんな清楚系のワンピースを着た響と一緒に映画館に向かった。

 映画館に到着すると、すぐにチケットを買った。

 上映時間までまだ三十分くらいあった。


「グッズでも見ながら待ってようよ!」

「そうだな」


 ショーケースの中に並んでいる映画関連グッズを響と一緒に眺めていた。


「ねぇ!せっかくだからおそろいの物を買おうよ!」

「おそろいの物を買うかはおいといて、何かグッズは買いたいな」

「おそろいの物を買うの!」

 

 そう言って響が俺の腕に抱き着いてきた。


「買ってくれないと離さないからね!」


 その豊満な胸の間に俺の腕を挟むように響は引っ付いてくる。


「わ、分かったよ。買うから離してくれ……」

「よろしい。離してあげよう」


 なぜか、姫口調で言うと響は、どれがいいかな~、とショーケースの中にあるグッズを楽しそうに見ていた。


「ちなみに柏君の推しキャラは?」

「俺はこの赤髪の子かな」

「このアニメのメインヒロインだね!」

「そうそう!めっちゃ可愛くないか!?」

「可愛いよね~!じゃあ、この子のキーホルダーを買おうよ!」


 そう言って、響はメインヒロインのキーホルダーを指さして「二つください」店員さんに言った。


「はい、これ柏君の分ね!」

「ありがとう」


 俺はお金と引き換えにキーホルダーを受け取った。


「どこにつける~?」

「学校のかばんにつけたいところだが、さすがにそれはできないから、財布につけようかな。意外と小さいから邪魔にもならないだろうし」

「じゃあ、私もそうしよ~!」


 早速、俺は財布にそのキーホルダーを付けた。 

 そうこうしているうちに、上映時間が近づいてきていた。


「そろそろですね!ポップコーンとか買いますか?」

「そうだな。買うか」


 ポップコーンと飲み物を買った俺たちは席に移動して、上映が始まるのを待った。


 

 

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