第10話 大野渚の到来!?
「こんなところで何してんのよ?」
「それは・・・・・・」
トイレに行った響を待ってるなんて言ったら誤解されそうだな。
いや、誤解されても別にいいのか。もう、渚は俺の彼女じゃないわけだし。
「その袋には何が入ってるの?」
渚が俺の隣に置いてあったラブコメ小説が入った袋を見て聞いてきた。
「これは・・・・・・その、本だ・・・・・・」
「あー。またあのラブコメとかいうわけわかんないジャンルの本でしょ。宗ちゃん私と付き合ってた時も好きだたもんね」
そう言いながら渚が俺の隣に座った。
そこはさっきまで響が座っていた場所だった。
「てか、大量に買いすぎじゃない?これ、全部、宗ちゃんの?」
「いや、連れのやつ」
「ふ〜ん。誰かと一緒にお出かけしてたんだ」
渚はジト目で俺のことを見てきた。
「別に渚には、もう関係ないだろ。俺がどこで何してようが俺の勝手だろ」
「そうだね〜。宗ちゃんがどこで何してても元カノの私としてはどうでもいいよ。でもね、宗ちゃんが女のこと一緒って言うなら話は別」
「何でだよ・・・・・・」
「女の子と一緒だって言うのは否定しないんだね」
「そ、それは・・・・・・」
「まぁ、いいや。私もここで待たせてもらおーっと。宗ちゃんが一緒にお出かけしてた相手が誰か知りたいし」
そう言って渚は俺の袋からラブコメ小説を一冊取り始めて読み始めた。
「もう少し宗ちゃんの趣味を理解してあげることができたら、私たち今も付き合っていたのかな・・・・・・」
「え?」
「ごめん。何でもない。それにしても可愛いね〜。このヒロイン。私じゃ勝てないや」
「そんなことないだろ」
「え?」
「そのヒロインに負けないくらい渚も可愛いだろ」
「そ、そうかな?」
渚は少し頬を赤らめて照れ臭そうにしていた。
実際、渚は可愛い。だから、俺は嘘を言ってるわけでも、元カノだからエコ贔屓をしているわけでもない。
きっと、渚ならすぐに彼氏ができるだろう。この前みたいなクズ野郎じゃなくて、渚のことを真剣に愛してくれる人がそのうち現れるはずだ。
もちろん、それは俺ではない。
俺はもうすでに渚に振られてしまっているからな。
「ねぇ、宗ちゃんは今好きな人いるの?」
渚がどこか緊張した面持ちでそう聞いてきた。
好きな人・・・・・・。
そんな人がいるのなら響とこうしてフリーマーケットには来なかっただろうな。
「いないよ。彼女もいない」
「そ、そっか・・・・・・」
渚は本を閉じて立ち上がると「また、学校でね」と言い残し、逃げるように去っていった。
俺はその後ろ姿を少し懐かしく思い見つめていた。
それからしばらくして響がトイレから戻って来た。
その後は少しだけラブコメ話をすると公園を後にし、それぞれの家へと帰った。
☆☆☆
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