第9話 公園でのこと
カフェを後にした俺たちは響がまだ話し足りたいと言ったので、公園に移動していた。
俺も響とラブコメの話をするのは楽しいと思っていたから、もう少しだけ付き合ってもいいかなと思い行くことにした。
「うわぁ〜!いかにもラブコメが起きそうな公園だ〜!」
「その発言、思いっきりフラグな気がするんだけど・・・・・・」
「だって〜。いかにも何か起きそうじゃない?」
「まぁ、確かにな」
夕焼けに照らされた公園はいかにもって感じだった。
ラブコメならここでどんな展開が起きるだろうかと考えを巡らせる。
そもそも、響と一緒に出かけてる時点で、十分にラブコメ要素満載なんだけどな。
カフェでは『あれ』もされたし・・・・・・。
「とりあえず座ろっか」
そう言って響は近くのベンチに座った。
「柏君も座って」と手招きされたので、俺も握り拳三つ分くらい開けてその隣に座った。
「で、どこまで話してたっけ?」
「キャラの設定じゃない?」
「あ、そうそう!主人公の設定ね!」
何の話をしてたのか思い出したかのように響は手をポンと叩いた。
そして、意気揚々と話し始めた。
「柏君はどの設定が好き?難聴主人公・鈍感主人公・実は凄いやつ主人公・ダメダメな主人公・つい応援したくなる主人公・クズな主人公・・・・・・」
「ストップ!ストップ!一体どんだけ例をあげるつもり!?」
「えー。まだまだ、たくさんいるのに〜」
もっと言いたかったと響は不満顔になった。
しかし、すぐに切り替えて「で、どれが好き?」と聞いてきた。
「その中だと、実は凄いやつ設定の主人公かな。ありきたりだけど、なんだかんだ読んでて面白いし」
「確かにね〜。主人公の凄さが少しずつ分かっていくのって、やっぱりワクワクするよね。次はどんなことをしてくれるんだろうって期待しちゃうし!」
「そうそう。結局、それが一番面白いんだよな〜。もちろん、他の主人公も面白いけどね。九条さんは?」
「私はね〜。柏君みたいな人かな!」
俺のことを見てウインクをした響。
これを冗談で言ってるなら、俺も冗談で返すことができる。
だけど、響の場合は違う。本当に俺のことが好きで、そう言ってくれている。
嘘偽りないその言葉に俺はどう返していいのか分からなかった。
「もぅ〜。そんなに戸惑わないでよ〜」
「・・・・・・ごめん」
「謝ってもほしくないな〜。謝るくらいだったら、私の気持ち受け止めてくれない?」
「それは・・・・・・」
「まだ、無理なんだ」
「・・・・・・ごめん」
「ほんと、何でそんなに自分に自信がないのかなー。柏君は。こんなに可愛い私が好きだって言ってるのに!」
むぅ、と飽和を膨らませる響。
「話したくないかもしれないけど、柏君がそうなった原因を教えてくれない?」
「別に大した理由じゃないけど・・・・・・」
だけど、響に言うのは躊躇ってしまう。
「言えない?」
「そう、だね」
「そっか。分かった。私、柏君が言ってもいいかなって思えるまで待つから」
「九条さん・・・・・・」
「ねぇ今のセリフってラブコメのヒロインぽくない!?」
響はそう言うと立ち上がって「ちょっとトイレ行ってくるね」とお手洗いに向かっていった。
「最後のセリフで全部台無しだよ・・・・・・」
いつか響に打ち明けれる時が来るのだろうか。
もしも、打ち明けたら響はどんな顔をするだろうか。
そんないつ訪れるか分からない未来を想像して俺は苦笑いを浮かべた。
「宗ちゃん・・・・・・?」
「え、渚・・・・・・」
名前を呼ばれて顔をあげるとそこには私服姿の渚が立っていた。
☆☆☆
皆さんはどんなラブコメの主人公(ヒロイン)が好きですか?
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