02 見(まみ)える
夏の武蔵野。
太陽が照りつけ、草いきれが
その数、およそ六百。
「
この未開の荒野、武蔵野。
開拓に
だからこそ、
敵がいる、と。
「敵ではない、落ち着け」
馬上、広がる原野の果てに、一塊の群れが見えた。
群れから一騎、若い武士がこちらに迫る。
「我こそは、
「いかにも」
その礼儀正しさに、
「されば、
「いやそれは」
「……言いたいことはあろうが、
若いが
それも、よりによって、承平天慶の功と来たか。
甥の
「……
「もうよい」
郎等が付き従おうとするのを制止し、単騎にて前に出て、
「
「何か」
「このまま、
「…………」
不本意だな。
そう感じた
「では一騎打ちにて、
「一騎打ちとは?」
「聞いてのとおり。合戦など、怒りを燻ぶらせた郎等の思う壺。この際だから言うておくが、わしは
だが郎等の心情を汲まねばならぬ棟梁としての立場もあり、こうして手勢を率いてきた。それは
そして事ここに至った以上、互いの郎等を納得させるには。
「
「弓だが、
「まことよ。これならば、最悪、どちらかが死ねば終わる」
「しかし、ご老体」
「では、いざ尋常に、勝負」
「これよりこの
「……是非もなし」
彼もまた、弓を構えた。
「さらば弓にて勝負せん!」
一騎打ちが始まった。
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