第96話

おっきなテラスに付くとフィリアとヒナタと仲間達以外にもバイマンさんや他の人達がいた。


そして遠くに襲われた街が見える。

まだラピュタ的なお城の中という事か。


ヒナタとそのお仲間達にバイマンさん達が居るって言うことは戦いは終わったのかな?

まぁ、殺し合いとかは早く終わった方がいいけど、バイマンさん達が敵意に満ちた目でこちらを睨んでいるのはとても気になる。


上座的な位置にある豪華な二人掛けの椅子に自称姉と並ぶように座らされると、羊のメイドさんが目の前に料理を並べていく。


相棒、なんか落ち着かないだけど!

特にバイマンさん達の視線!

俺って何かした?


『街の城壁を破壊した記録が残ってるデス』


うっ・・・

じゃなくて!

街を襲った魔王軍って奴の責任者にされてたよね!

原因はそれじゃね?


『可能性はあるデス』


だよね!

あー胃が痛い。

なんか食事とか喉通らんわぁ。


恨まれる原因を作ったであろう、自称姉をじろりと睨むとイチゴみたいな小さな果物を一つ取って半分かじった後、「あーん」って言いながら俺の口元に運んできた。


え!

相棒!

こ、これ、自称姉ががが!

いや、嫁が半分かじった果物食べて良いってことかな!


『間違いなく食べろと言うことデスネ』


そ、そうか!

でも、俺、女子にこんな事されたことないんだけど!


『食欲が無いなら断るデス』


え!

イヤイヤイヤイヤ。

ジェントルマンとしては、こういう申し出を無碍に拒絶する事は出来ないな。


『事案、犯罪、ロリコンではないのデスカ?』


う!

うーーーん・・・

まぁ、そうだな・・・

そもそも無関係のおっさんがJCの半径1メートル以内に近づいた時点でポリスに通報されて社会的に制裁を受けてもおかしく無い国で育った俺としてはこれは間違いなくギルティ。

初めて女子に好意を向けられてちょっと調子に乗ってたかな・・・


「口移しの方が良かったか?」


ぐはぁ!

なに、この可愛い女の子!


ヤバい、自制心が吹っ飛ぶ前に距離を取らねば!

偉い変態さんが言ってた。

イエス、ロリータ。

ノー、タッチ。


これはジェントルマンとして最低限守らなくてはならないルールなのだ。


『ジェントルマンはそんな事考えないデス』


黙らっしゃい!


とりあえず少し離れようとすると果物を口の中に突っ込んできた。


「本に書いてあったとおり、我を拒絶しようとしたな!」


あらぁ?

なんか始めてる会ったときの雰囲気が少し出てきた。

やべえよ相棒!


「我は500年以上もお前と離れていたのだ!

ああああああ!

我慢も限界だ。

またおかしくなりそうだ。

お願いだ!

これ以上我を苦しめる事はしないでくれ!」


なぁ、相棒・・・

大丈夫なの?

一緒に暮らしていく自信が早速崩壊を始めたのだが・・・


『あなたの世界の記録によるとヤンデレ状態と想定されるデス。

守備範囲という発言も記録にあるのデスガ?』


ヤンデレ!

自慢じゃないが、俺は女子の好意に縁がない!

女子と付き合うなんて到底不可能。

サイテーって言われてもいいから、とにかく誰でもいいから付き合いたい!

ヤンデレ上等かかってこいやぁ!

なのだが・・・


『安全を確保するために受け入れるデス』


お前、ロリコンって俺を非難してるよね?

タッチしていいの?


『いまさらデス。

世界を吹き飛ばす可能性を無視してくだらない事を考えているのは許容できないデス』


え!

相棒、お前、ひょっとして俺の事怒ってるの!?


『YESデス』


えぇ・・・


仕方無いので、小さい果物を少しかじって嫁の口元へを運ぶとパクッと食べて、満面の笑みになった。


ちょろい・・・


「いやー、百合の花が咲きまくってるでござるなぁ!(日本語)」


ああ、TS聖女さんは相変わらずのござる口調だ。

なんか安心するわぁ


「フィリア嬢は吸血鬼のお姉さんとラブラブ!(日本語)」


確かにミリアさんとイチャイチャしてるのは、ずっと気になってた。


「ヒナタはラファさんとずっとエロエロしてるでござるからなぁ!(日本語)」


「エロエロなんてしてないかな!(日本語)

ってラファさん胸触らないでくれるかな!」


いや、エロエロしてるでしょ。

どっかで見たことのある美少女に抱きつかれて胸にタッチされてるよね。


「極めつけはシスコン魔王姉妹のロリ百合!

ああああ!

拙者も可愛い女の子とイチャイチャしたいでござるぅ!(日本語)」


ああ、すげー親近感がわくな。

TS女体化仲間だし。


「はいはい。

 筋肉の塊でわるぅございましたね!(日本語)」


「え!

 マユミ。

 それは一体どうゆうことかな!」


ヒナタが大声をあげた後、なんかヒソヒソと話し始めてる。


気になる。


「おめでとぉ!

 はーい。だから筋肉達磨はヒナタお姉様からはなれなさーい。

ビッチ聖女とお幸せにぃ。」


ラファっていう美少女がヒナタとマユミの間に入って引き剥がす。


ふむ、あの二人つきあってるのか!?

ヒナタがジト目で二人を見ている。


「ごめん、ヒナタ。

 男の性欲を甘く見てた。(日本語)」


「ラファ殿!

ビッチとは失礼でござる!

 クロス殿が履いていたこのパンツ「ブーーーーーー!」はビッチが履くことは・・・

え・・・(日本語)」


俺が履いてたパンツをあのござるがはいてるのか!

飲みかけのジュース吹き出してしまったよ!

あれは俺が1年は履き続けたビンテージ物の汚パンツなんだけど・・・

ござる聖女は恐る恐るこちらを見る。


「あ、あの・・・

クロスたんもラファ殿と同じ言語理解スキル持ちでござるか?(日本語)」


母国語なので言語理解スキル使わずに解るんだけどね・・・

とりあえずコクリ頷く。


「我も持っておるぞ。」


嫁がござる聖女に向けてちょっといけないオーラを出し始めたので、口元に果物を運ぶ。


すると満面の笑みでパクッと食べた。

ちょろい・・・


「ルゥイ様

 そろそろ始まるようです」


何となく微妙に気まずい雰囲気を、いつもと違う真っ白な鎧を着たメイド長さんが現れ断ち切った。


何が始まるのかな?


街の方を指差したので、ぼーっと眺めているとどこからともなく歌声が聞こえはじた。

そして街の上空に黒い雲が湧き出し広がっていく。


「讃美歌7番・・・嵐の前・・・」


バイマンさんの横にいた法衣を着たおじさんが街に向かった跪き祈り始めた。


「ク、クロスよ。

 この後、自称神の軍勢が現れるぞ。」


「自称神?」


なんか、すごい不謹慎な呼び方だな。


「未来のお前がそう呼んでいたぞ?


ああ、未来の俺かぁ。

確かに本に書いてあるよう事されたら一生恨むだろうな。


「あのような者どもがいくら現れようが恐れる必要はないが、因縁がある龍王達が決着をつけたいそうだ」


「龍王?」


「まぁ、余興だと思って見ておるがよい。」


黒い雲が広がったあと、所々で日の光が差し込んできてその中から沢山の天使が出てきた。

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