8.心の底の告白

 私は努力を続けてきた。

 無駄だと笑われようと、無様だと蔑まれようとも………ただひたすらに。


 ある時、私は力を得た。

 私は歓喜した。

 長年の努力が実ったのだ、

 祈りが通じたのだと。

 あのとき私は確かに長く暗いトンネルを抜けた………はずだった。


 状況は悪化した。


 どこで間違えたのだろうか。

 私に微笑みかけてくれていた神様の優しい顔はいつの間にか私がもがく様を眺めてあざ笑う悪魔の顔に変わっていた。


 そのときになって私はようやく「間違った」ことに気づいた。

 私の努力は、報われてなどいなかった。

 私はただ利用され、踊らされていただけなのだ。


 私は神を、世界を呪った。

 いっそ身も心もすべて捧げて本当の悪魔になってしまおうかと思うぐらいに。


 でもやはり、誰かに助けてほしい。

 愛して、抱きしめてほしいのだ。


 辛い、悲しい

 怖い、苦しい


 あぁ、今夜も月が綺麗。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る