第2話

帰りの電車は酷い混み具合で後ろの女子高生の無造作なスクールバッグの角が背中にくい込んでなかなかに痛かった。

雨のせいではねた髪がボサボサとしていて不満足気に雨の降る景色の映る電車の窓を覗く。

そろそろ発車するというアナウンスが聞こえたので、

吊革を触るのは今のご時世如何なものかと思うが、持たなければ倒れるのだ、致し方なく吊革を持って前の方を向こうとすると、押されたのか、同級生か先輩かは分からないが、おおーと言うあたかも歓声のような声が上がった。

実際のところ歓声の要素は僕にとっては皆無であったが、「みんなでする行為」がきっと彼らにとっては楽しいのだろう。

先程の行為の続き、つまりは前方を向くことなのだが、先程酷い人混みの中降りていった帰りが今なのか?と疑いたくなる会社員の代わりに座った男子高校生が英単語を勉強していて、遠目に、ただただ感心した。僕はこうして皆さんとの会話を楽しみたいから単語帳など開かない心積りだが、最近学力の低下を感じている僕にとっては胸に痛い光景である。

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