219話 誰がメスガキだコラァ!

「おい、誰がメスガキだコラァ!! ふざけんじゃねぇぞ!!!」


 リリアが指差したのは、年若い少女だ。

 彼女は部屋の一角に拘束されている。

 見た目だけなら可憐な美少女なのだが、その体から立ち上る怒気は尋常ではない。

 俺とリリアを除けば、1対1で彼女に勝てる者は皆無だろう。

 A級スキル【剣聖】は、それ程までに強力な能力を持つ。


「まだ生意気な口を聞けたとは驚きだな。ほら、また鮮度の良い血をもらってやる」


「ぐっ……! ぎゃぁっ! や、やめろ……っ!!」


 俺は彼女の腕に向けてナイフを振り下ろす。

 傷口から溢れ出して滴る血液を、クリスタルに当てて吸収させていく。


「ははっ! いくらA級スキル持ちの血でも、そろそろ吸収効率が落ちてきたか!!」


「同じ者の血ばかり吸わせても、完成までは難しいからのぉ……」


「だな。となると、とりあえず生かしておいたコイツも用済みか……。なぁ? ガルド」


 俺は弟の名前を呼ぶ。

 すると、少女がビクリとして震え上がった。


「ま、待ってくれよ。なあ、兄弟! 俺たちは血を分けた実の兄弟じゃないか!! 助けてくれぇ!!」


「……」


 ガルドが命乞いを始める。

 そう。

 この年若い少女の正体は、ガルドだ。

 俺はコイツの男性器をぶっ潰した直後、試作品のエリクサーを飲ませた。


 ……その結果、無事にガルドは回復した。

 ただし、なぜか性別が反転していた。

 今の彼は、美しい少女になっている。

 こんなクソ野郎に対して『美しい』と感じるのも癪だが、それが事実だ。

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