217話 ガルドの罪-4

「……そうだな。それがどうしたっていうんだ?」


「こやつは良い実験体になるのではないか? そこらのザコでは、少しの調合ミスですぐに死んでしまう。じゃが、人族の中ではマシなこやつを生かしておけば、多少の副作用や失敗があっても問題なかろう?」


「……確かにな」


 俺はガルドに視線を落とした。

 股間部からの出血と激痛に苦しんでいる様子だが、死んではいない。

 これほど実験体として便利な奴もいないか。


「わかった。ならさっそく、試作品をぶっかけて試してみよう」


 エリクサーを作るには『紅血の水晶石』が足りない。

 だが、『白銀の大牙』を含め他の素材は概ね集まっている。

 そこで俺は、エリクサー作りに向けて試作品を作っていたのだ。


「ほら、プレゼントだ。多少の回復効果はあろうだろう。ま、どんな副作用があるかわからんが……」


 俺はポーション瓶に入った液体をガルドにぶっかける。

 すると――


「ぐぁっ……!? な、なんだ……っ! 体が、熱い……!?」


「ほう? もう意識を取り戻したか。後は、副作用さえなければ上出来なんだがな」


「はぁ、はぁ……! あ、ああああっ! ぐおおおおおぉっ!?」


 ガルドがもがき苦しみ始める。

 やはり副作用が出てしまったな。


「……まぁ、想定の範囲内だな。連合軍は追い払ったことだし、ガルドの経過を観察しつつ今後の方針でも決めるとするか」


 苦しむガルドを眺めつつ、俺はそう呟いたのだった。

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