175話 勘違い
「あ……その……私はご主人様の忠実なペットですから……」
その言葉を受けて、さらに激昂するメスタ。
彼女はキーネに飛びかかろうとするが、首輪の鎖が伸び切ってしまい動きが止まる。
そのまましばらく硬直した後、顔を真っ赤にして睨みつけてくるのみだった。
「ごめんね? お願いだから大人しくしていてね」
「ふっ……ざけんなぁあああああぁっ!!!!」
激高するメスタと、たしなめるキーネ。
それなりに愉快な見世物ではあるが、このまま放置もできない。
俺はムチを手に取り、二人に近づいていく。
「あっ……その……。お待ち下さい、ご主人様。なんとか言い聞かせますので、どうかムチで叩くのは許してあげていただけませんか?」
キーネがそんなことを言ってくる。
かつての仲間を一定程度には思いやっている一方で、隠しきれない優越感のようなものが見え隠れしていた。
俺が手にしているムチ。
それはメスタを言い聞かせるためのものだと思いこんでいるのだろう。
「何を勘違いしているんだ?」
俺の言葉に首を傾げるキーネ。
そんな彼女の目の前で、俺は手にしていたムチを振りかぶり――思いっきり振り下ろした!
バチンという小気味良い音が響き渡る。
「あぎゃぁああっ!?」
甲高い悲鳴を上げたのは、メスタではなくキーネである。
彼女は叩かれた背中を両手で抑えながらうずくまる。
俺はそんな彼女に向かって告げる。
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