21話 銀月草の採取

 俺とリリアは、ストレアの冒険者ギルドにて冒険者登録を済ませた。

 その後、商会の娘に別れを告げ、その日は宿屋に泊まった。


 そして翌朝。

 俺とリリアは冒険者ギルドで依頼を受注し、とある森に来ている。


「さて……。依頼内容は銀月草の採取だったか」


「そうじゃのう。余らがこのような些末な依頼をこなすことになるとはの」


「そう言うな。人族は人族で、いろいろとルールがあるのさ」


 昨日は、絡んできたCランク冒険者を一蹴した。

 最低でもBランククラスの実力があることは知られただろう。

 飛び級でBランクになってもおかしくはないところだ。


 しかし、実際には俺たちはEランクからのスタートである。

 チンピラたちを返り討ちにしたのはあくまで非公式の出来事なので、ランク査定に含めるわけにはいかないそうだ。

 薬草採取や魔物の討伐、ギルド公認の模擬試合などで結果を出していく必要がある。


 あるいは、俺とリリアがAランクやBランクの冒険者たちを相手に無双するのもなくはない。

 俺とリリアの実力は、本来であればSランク以上だろうしな。

 そうなれば、さすがに冒険者ギルドも俺たちの実力を認めざるを得ないだろう。

 

 しかし、さすがにそこまでの実力を見せるのはマズい。

 AランクやBランクをボコボコにできる大型新人となると、国を超えてブリケード王国にまで気づかれるかもしれない。


 シルバータイガーの情報を入手できるBランク冒険者になりたいわけだが、そのあたりのバランス感覚が難しい。


「確か、このあたりに生えているはずだと言っていたな……」


 冒険者ギルドにて、銀月草が生えているおおよその場所は教えてもらったのである。

 また、銀月草の特徴も合わせて教えてもらっている。


「ふむ。余は草探しなどしたことがないからのう。魔物討伐のほうがよほど楽な仕事じゃ」


「同感だ。……むっ! あれは……」


 俺は少し離れたところの木の根元を確認する。

 銀色に輝く草が生えている。


「これが銀月草だ。幸先がいいな」


「うむ。じゃが、まだまだ数は足りないのう」


 リリアの言う通り、このひと束程度では依頼量に足りない。

 あと10倍くらいだろうか。

 終わりが見えないというほどではないが、すぐに終わりそうなほどでもない。


「しらみつぶしに探していくしかないか。……ん?」


 俺は銀月草からかすかな違和感を覚えた。

 これは……。


「魔力反応がある。そういえば、銀月草の用途は魔術関連だと言っていたか」


「かなり微かな魔力反応じゃの。余でも、集中せねば感じ取れぬ。よく気づいたの」


「たまたまさ。俺もギリギリだ」


 この程度の魔力反応では、常人では気づけないだろう。


「よし。この銀月草の魔力の波長を覚えて……。『サーチ』」


 ピコンピコン。

 周囲から、この銀月草と同じような波長の魔力反応がある。

 俺は反応のある方向へ向かう。


「ここだ」


 無事に新たな銀月草を見つけた。


「やるのお。余も負けておれんな。『サーチ』」


 リリアも、俺のやり方をマネして銀月草を探していく。

 魔力感知能力が高い、俺やリリアならではの技だ。

 そこらの冒険者では同じことはできないだろう。

 俺たちは、銀月草をどんどん集めていく。

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